友沢くんはポーカーフェイス
友沢くんはポーカーフェイス(主友)
パワプロくんからその言葉を聞いたとき、友沢くんは嬉しいというよりも驚いたような拍子抜けしたような、そんな気分だった。監督の都合で、いつもより早く部活動が終わった夕暮れどき。並んで歩いていたパワプロくんと友沢くんは、二人とも足を止めて互いに向かい合っていた。遠くで鳥の鳴いている声がする。友沢くんが黙ったきりだったので、パワプロくんは意を決してもう一度同じことばを口にした。
「オレ、友沢のことが好きなんだ」
自分の目を真っ直ぐと見ながら言うものだから、友沢くんはさっきの告白をなかったことにも聞いていなかったことにも出来なくなってしまって、困った。だけど、友沢くんの表情は変わらない。いつも通りのはずだった。でも、どんな時でもポーカーフェイスを貫き通す、そういう友沢くんのささやかな変化に気付くのが、パワプロくんだった。いつもと同じ顔色だけれど、いつもと同じではない友沢くんの表情。それに気づいた彼は、今までずっと緊張してこわばらせていた顔をふっと緩めて微笑んだ。それに対して、おもしろくないといった面持ちで唇を尖らせたのは友沢くんだ。彼にしては珍しく、年相応の子供のような態度だった。
「なんでお前、今そういうこと言うんだよ」
「言いたくなったから?」
「なんで疑問系なんだよ」
「友沢が好きだから?」
「…疑問系やめろ」
ぶつくさと文句を言う友沢くんの顔が、夕陽だけではごまかしようがないほど染まっているのを知っていたから、パワプロくんはつられて赤くなっているだろう自分のほっぺたをかいた。それでも友沢くんはポーカーフェイスのままだ。いつものように素っ気ないふりを続ける彼が、下手な演技を続ける彼が、今日は一段といとおしくて、我慢できなくなったパワプロくんはとうとう声を出して笑ってしまった。
「なんで言うんだよ」
「迷惑だったか」
「そういう意味じゃない」
「じゃあ、どういう意味」
「言わないでいれば、オレたちはずっとこのままでいられた」
「うん。でも、このままは嫌だったから」
「オレから、言いたかった」
それは悪いことしたなあ、そう言うパワプロくんはちっとも悪いことをしたなんて思っていない顔で友沢くんを見た。友沢くんのきれいな色をした瞳が、夕焼け色に染まって輝いていたから、覗き込みたくなる。友沢くんの目には、そういうことを思わせる魅力があった。友沢くんは端正な顔立ちをしたきれいな子で、高めの鼻梁も、薄い唇も、表情の薄いところも含めてまるで彫刻されたような精巧な仕上がりだったけど、中でも宝石のようにひかる瞳が一等美しいと、パワプロくんはいつも思っていた。
「オレも、お前のことが好きだから。…ああ、オレもなんて、絶対言いたくなかった」
「なんで」
「だって、オレの方がお前を好きなんだから」
「なあんだ、それ!」
友沢くんの妙なこだわりがパワプロくんには全然分からなくて、おかしかった。友沢くんは、こんなときまでパワプロくんに張り合っている。なぜなら、二人はライバルなのだ。それが分かっているから、パワプロくんはそれ以上なにも言わなかった。言わないかわりに、パワプロくんは友沢くんの手を取って、きつく握った。
微笑んだ友沢くんは、いままで見た中でいちばんきれいな顔をしていた。
了
ーーーーーーー
読んでいるものにすぐ影響される!わーい!
最近よく読む作家さんの語り調をまねっこしてみたのでした
主友かわいいね
パワプロくんからその言葉を聞いたとき、友沢くんは嬉しいというよりも驚いたような拍子抜けしたような、そんな気分だった。監督の都合で、いつもより早く部活動が終わった夕暮れどき。並んで歩いていたパワプロくんと友沢くんは、二人とも足を止めて互いに向かい合っていた。遠くで鳥の鳴いている声がする。友沢くんが黙ったきりだったので、パワプロくんは意を決してもう一度同じことばを口にした。
「オレ、友沢のことが好きなんだ」
自分の目を真っ直ぐと見ながら言うものだから、友沢くんはさっきの告白をなかったことにも聞いていなかったことにも出来なくなってしまって、困った。だけど、友沢くんの表情は変わらない。いつも通りのはずだった。でも、どんな時でもポーカーフェイスを貫き通す、そういう友沢くんのささやかな変化に気付くのが、パワプロくんだった。いつもと同じ顔色だけれど、いつもと同じではない友沢くんの表情。それに気づいた彼は、今までずっと緊張してこわばらせていた顔をふっと緩めて微笑んだ。それに対して、おもしろくないといった面持ちで唇を尖らせたのは友沢くんだ。彼にしては珍しく、年相応の子供のような態度だった。
「なんでお前、今そういうこと言うんだよ」
「言いたくなったから?」
「なんで疑問系なんだよ」
「友沢が好きだから?」
「…疑問系やめろ」
ぶつくさと文句を言う友沢くんの顔が、夕陽だけではごまかしようがないほど染まっているのを知っていたから、パワプロくんはつられて赤くなっているだろう自分のほっぺたをかいた。それでも友沢くんはポーカーフェイスのままだ。いつものように素っ気ないふりを続ける彼が、下手な演技を続ける彼が、今日は一段といとおしくて、我慢できなくなったパワプロくんはとうとう声を出して笑ってしまった。
「なんで言うんだよ」
「迷惑だったか」
「そういう意味じゃない」
「じゃあ、どういう意味」
「言わないでいれば、オレたちはずっとこのままでいられた」
「うん。でも、このままは嫌だったから」
「オレから、言いたかった」
それは悪いことしたなあ、そう言うパワプロくんはちっとも悪いことをしたなんて思っていない顔で友沢くんを見た。友沢くんのきれいな色をした瞳が、夕焼け色に染まって輝いていたから、覗き込みたくなる。友沢くんの目には、そういうことを思わせる魅力があった。友沢くんは端正な顔立ちをしたきれいな子で、高めの鼻梁も、薄い唇も、表情の薄いところも含めてまるで彫刻されたような精巧な仕上がりだったけど、中でも宝石のようにひかる瞳が一等美しいと、パワプロくんはいつも思っていた。
「オレも、お前のことが好きだから。…ああ、オレもなんて、絶対言いたくなかった」
「なんで」
「だって、オレの方がお前を好きなんだから」
「なあんだ、それ!」
友沢くんの妙なこだわりがパワプロくんには全然分からなくて、おかしかった。友沢くんは、こんなときまでパワプロくんに張り合っている。なぜなら、二人はライバルなのだ。それが分かっているから、パワプロくんはそれ以上なにも言わなかった。言わないかわりに、パワプロくんは友沢くんの手を取って、きつく握った。
微笑んだ友沢くんは、いままで見た中でいちばんきれいな顔をしていた。
了
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読んでいるものにすぐ影響される!わーい!
最近よく読む作家さんの語り調をまねっこしてみたのでした
主友かわいいね
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