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ささのはさらさら

ささのはさらさら(10/猪狩進)

 今日、近くで七夕祭りやってるみたい。
 そう言ったのはパワプロさんで、それを横で聞いていた兄さんに集中しろとたしなめられる。そばにいた友沢は、二人の様子を見るともなく眺めていた。どういう風の吹き回しか、ありそうでなかった組み合わせの四人で自主練習をしている。僕は兄さんと兄弟であるし、パワプロさんとも友沢とも親しくしているつもりだったが、このメンバーでわざわざ集まって練習をするのは今日が初めてだ。僕は握っていたバットを下ろして、いいですねと笑った。
「せっかくですから、みんなで行きましょうよ」
「さすが進くん!」
「なに言ってる。そんなことしてる場合か」
「まさかこの四人で行くんスか?」
 僕の言葉にパワプロさんは嬉しそうに声を上げて、兄さんが不服そうに眉根を寄せる一方、友沢は意外にも乗り気のように見えた。普段は生意気そうに振る舞っている友沢が、ルーキーらしくかわいらしい一面を持っていることを僕はよく知っていた。そして、いかにも不満そうな顔をしている兄さんが、実のところ一番胸を弾ませていることも分かっている。確かにペナントレースの真っ最中ではあるものの、明日はオフだ。だからこそわざわざ遅くまで居残って練習していたのだ。たまの気分転換くらい、罰も当たらないというものだろう。
「さ、行きましょう」



「友沢、短冊書かないの?」
「や、べつに、オレそういうのいいんで」
「せっかく来たんだから、書きなよ」
 せっかく祭りに来たのに、友沢はいつものポーカーフェイスを崩さないで両手をポケットに突っ込んでいる。夜も遅い時間だというのにずいぶん盛況な盛り上がりで、 祭り会場は人で溢れていた。風でたなびく七夕飾りはきらきらと瞬いて、友沢の横顔を照らした。
「ほら、一枚あげる」
 手に持った短冊を渡すと、いよいよ観念したのか、先輩の言うことは聞いておくべきとでも思ったのか、友沢は隣に来てペンを持った。前のテーブルでは、兄さんとパワプロさんが仲良く喧嘩しながら短冊を書いている。ああ、あの兄さんの嬉しそうな顔。パワプロさんは心底楽しそうだ。僕は思わず笑ってしまってから、短冊にペンを走らせた。
「友沢、書けた?」
「そんな急かさないでくださいよ」
 適当に済ませるものだとばかり思ったのに、友沢は真剣に何を書くか考えているみたいだった。かわいいな。僕もそんな風になれたら良かった。
 普段の友沢だったらこんなところに来るはずもないのに、今夜に限ってどうして黙って着いて来たのか、僕にはその理由がよく分かる。だって、好きな人とは一緒にいたいよね。僕と同じ理由だ。
「ほら友沢、結びに行こ!」
「ちょっと進さん、引っ張らないでくださいよ」
 子供が、どこかで歌を歌っている。そういえば、昔は七夕になると兄さんと一緒に家の笹に短冊を飾ったっけ。懐かしい記憶は、よく知っているその童謡を口ずさませた。

笹の葉さらさら
軒端に揺れる
お星さまきらきら
金銀砂子

 今夜のねがいごとが叶うのは、だあれ




ーーーーーーーーー
いい加減進くんを失恋させる話を書くのはやめるんだと思ったので失恋未遂になりました
進くんは誰が好きなのかな
私は本当に、本当にどの組み合わせも好きなので、もう全員もちろんカップル成立しろって思いますよね
主人公ちゃんはあまねく全人類を幸せにする男だし
守さんと進くん最高だし
守さんと友沢くん筆舌に尽くし難いですよ
進くんと友沢くんの間に流れる空気で飯が食える
なので、カイザースの皆さん、全員付き合ってください
私からの、おねがいごとです

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