おれたちは勉強が出来ない
おれたちは勉強が出来ない(主友)
唐突だが、オレと友沢は赤点候補生の筆頭ということで、このたび試験に備えて勉強するよう異例の御達しが出た。顧問や同級生からならまだしも、後輩部員にまで言われてしまっては、いくら野球バカのオレたちといえども無視することが出来なかった。
空き教室を借り受けて、観念してテキストを開いている。赤点を取った後の補習や再テストを思えば、なるほど始めから及第点を取った方が無駄がない。理屈ではそうだが、なにせ勉強は好きじゃないのだ。オレも友沢も、ペンを握ってノートに書きつける時間があるのならば、バットを握って、ボールを追い掛けていたい。
それでも、試験前くらいは勉学に励まなければいけないオレたちは悲しいかな学生、高校生、いくらプロ野球選手が目標だからといって、勉学を疎かにすることは出来ない。そもそも卒業出来なければ、プロ野球選手にもなれない。
「なに見てるんだ。集中しろ」
目の前でオレと同じようにテキストを開いている友沢はこちらを一瞥するとすぐにまた視線を教科書に落として、さも勉強しているかのような仕草を見せた。オレがペンを握りながらもうだうだと余計なことを考えているように、友沢もさっきから一ページとして進んでいないことはすでに気が付いている。
誰もいない空き教室、夏は日が長いので、夕方になってもまだまだ明るい。日の光に透けた友沢の髪がきらきらと光っていた。家に帰ったところで勉強しないので、仕方なく二人して集まっては試験勉強をすることにしている。無論、効果の程は保証しかねる。開けっ放しの窓から風が一陣吹き抜けて、友沢の髪を揺らしていった。机に影を落とすほどの長い睫毛が持ち上がって、無遠慮にこちらを見る。
「見てるだけでいいのか」
顔はいつも通りの無表情だが、挑発的な声色だった。暑さから汗で張り付いた前髪を鬱陶しそうに指でよける仕草。その腕を捕まえて、オレは少々無理な体勢で立ち上がった。引いた椅子がガタンとそのまま後ろに倒れて、品のない音を立てる。掴んだ腕を引き寄せ、構わず唇を合わせると、友沢の口元は緩んでいた。ゆっくり離れると、友沢は隠しもせずにやっぱり笑っていた。
「それだけでいいのか」
言ったな。持っていたペンを放り出し、空いた手をその頬へ添えると、オレはもう一度友沢の唇を奪った。奪われることを待っていたそこは薄く開いていて、オレの舌の侵入を容易く許す。友沢の方から絡められたそれにオレは目を閉じて、友沢って普段は体温低いのにここはすごい熱いんだよなあとか、そういうことを考えていた。
「もう終わりか」
「友沢ってさあ」
「なんだ」
「誘ってるのか?」
「分からないのか」
馬鹿真面目に答えてみせた友沢にオレは白旗を振って、ペンもノートも盛大に放り出した。笑った友沢の顔がかわいくて、オレはもう一度だけキスをした。
了
ーーーーーーーーー
主友いいーわーーー効く
唐突だが、オレと友沢は赤点候補生の筆頭ということで、このたび試験に備えて勉強するよう異例の御達しが出た。顧問や同級生からならまだしも、後輩部員にまで言われてしまっては、いくら野球バカのオレたちといえども無視することが出来なかった。
空き教室を借り受けて、観念してテキストを開いている。赤点を取った後の補習や再テストを思えば、なるほど始めから及第点を取った方が無駄がない。理屈ではそうだが、なにせ勉強は好きじゃないのだ。オレも友沢も、ペンを握ってノートに書きつける時間があるのならば、バットを握って、ボールを追い掛けていたい。
それでも、試験前くらいは勉学に励まなければいけないオレたちは悲しいかな学生、高校生、いくらプロ野球選手が目標だからといって、勉学を疎かにすることは出来ない。そもそも卒業出来なければ、プロ野球選手にもなれない。
「なに見てるんだ。集中しろ」
目の前でオレと同じようにテキストを開いている友沢はこちらを一瞥するとすぐにまた視線を教科書に落として、さも勉強しているかのような仕草を見せた。オレがペンを握りながらもうだうだと余計なことを考えているように、友沢もさっきから一ページとして進んでいないことはすでに気が付いている。
誰もいない空き教室、夏は日が長いので、夕方になってもまだまだ明るい。日の光に透けた友沢の髪がきらきらと光っていた。家に帰ったところで勉強しないので、仕方なく二人して集まっては試験勉強をすることにしている。無論、効果の程は保証しかねる。開けっ放しの窓から風が一陣吹き抜けて、友沢の髪を揺らしていった。机に影を落とすほどの長い睫毛が持ち上がって、無遠慮にこちらを見る。
「見てるだけでいいのか」
顔はいつも通りの無表情だが、挑発的な声色だった。暑さから汗で張り付いた前髪を鬱陶しそうに指でよける仕草。その腕を捕まえて、オレは少々無理な体勢で立ち上がった。引いた椅子がガタンとそのまま後ろに倒れて、品のない音を立てる。掴んだ腕を引き寄せ、構わず唇を合わせると、友沢の口元は緩んでいた。ゆっくり離れると、友沢は隠しもせずにやっぱり笑っていた。
「それだけでいいのか」
言ったな。持っていたペンを放り出し、空いた手をその頬へ添えると、オレはもう一度友沢の唇を奪った。奪われることを待っていたそこは薄く開いていて、オレの舌の侵入を容易く許す。友沢の方から絡められたそれにオレは目を閉じて、友沢って普段は体温低いのにここはすごい熱いんだよなあとか、そういうことを考えていた。
「もう終わりか」
「友沢ってさあ」
「なんだ」
「誘ってるのか?」
「分からないのか」
馬鹿真面目に答えてみせた友沢にオレは白旗を振って、ペンもノートも盛大に放り出した。笑った友沢の顔がかわいくて、オレはもう一度だけキスをした。
了
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主友いいーわーーー効く
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