ある母の日記
ある母の日記 (主人公×猪狩守)
「お邪魔します」
そう言って玄関に現れたのは、今までに見たことのないような綺麗な男の子でした。息子が友達を連れてくるというものですから、てっきり私はいつもの矢部くんだと思っていて、不意打ちです。息子と同じ制服を着ているはずなのに、その格好はずいぶんと様になっておりました。整った顔立ち、長い手足、品のある様相…思わずぼんやりしてしまったところで彼の方から丁寧な挨拶があり、私もあわてて頭を下げました。猪狩守くんと名乗った彼は、息子の部活動でのチームメイトとのことでした。
「猪狩、オレの部屋こっち!」
慌ただしく入ってきたのは、今日もユニフォームを泥んこに汚した息子です。息子の連れてくる友達というのは、息子同様泥んこ砂塗れの格好が似合う元気な子ばかりでしたから、私は猪狩くんを見て大層驚きました。
息子は嬉しそうに笑って、猪狩に勉強みてもらうんだ!と言うので、私は「あんまり迷惑掛けちゃいけませんよ」と言い含めました。その様子を珍しそうに、それでいて興味深そうに眺めている猪狩くんが印象的でした。二人は連れ立って、息子の部屋に入っていきました。「猪狩、ゲームやろ!」、早速聞こえた息子の大きな声に、私はやれやれと息をつきました。
さて、その後はどうやら本当に勉強をしていたらしい二人は、夜もずいぶん遅くなって部屋から出てきました。部屋から出てきた猪狩くんに、息子はお礼を言いながら続けました。
「そうだ!猪狩、今日は家泊まってけば?いっつも、お前んち泊まらせてもらってるし」
私は思わず声が出そうになるのをこらえて、息子の顔を見ました。いつも、泊まっている?なんということでしょう、息子は猪狩さんのお宅に今まで散々入り浸っていたようです。野球の練習をして、そのまま友達の家に泊まることがこの頃は多くありましたが、私はこれまたてっきり矢部くんのところだと思っていたのです。何しろ、矢部くんも昔から息子と仲良くしてくれていて、よく泊まっていくものですから。
「急にそんなことを言って、迷惑になるだろう」
「えっ、べつに全然。ねー母さん。晩飯、猪狩の分もあるだろ?」
二人分の視線がこちらに向いて、私は頷きました。息子はそれを見て、勝手に猪狩くんが泊まっていくものだと決めてしまっています。猪狩くんは少し困った顔をしながらも、嬉しそうに見えました。そんな顔すらもとびきり綺麗で、私は心の中で息をつきました。
みんなで夕食を済ませ、お風呂も入っていった猪狩くんは、丁寧に私と夫に頭を下げていき、もうそれだけで育ちの良さが知れるような思いでした。ますます、息子の友達であることが不思議です。夕食の席でも、猪狩くんは私の作ったなんでもない煮物を信じられないほど美しい箸遣いで口に運ぶのでした。ただ食事をしているだけでこんなにも様になる人がいるものなのかと、私は息子のお代わりするご飯をよそいながら考えていました。
なんにせよ、明日の朝になったらきちんと息子に尋ねて、猪狩くんの家にお礼をしなければなりません。息子ときたら肝心なことは何も言わないのですから、昔から変わりません。
夕食の席で、明日の朝は早く起きて早朝練習をすると話していました。そのときの嬉しそうな息子の顔ときたら。私は思わず笑ってしまいました。良いお友達が増えたみたいで、良かった。明日の朝に二人が食べるおむすびをうんと握りながら、私は微笑みました。
了
ーーーーーーーーーー
たまにはこんなのどうでしょう
守さんに抱いているきらきら乙女心が全開になってしまった
「お邪魔します」
そう言って玄関に現れたのは、今までに見たことのないような綺麗な男の子でした。息子が友達を連れてくるというものですから、てっきり私はいつもの矢部くんだと思っていて、不意打ちです。息子と同じ制服を着ているはずなのに、その格好はずいぶんと様になっておりました。整った顔立ち、長い手足、品のある様相…思わずぼんやりしてしまったところで彼の方から丁寧な挨拶があり、私もあわてて頭を下げました。猪狩守くんと名乗った彼は、息子の部活動でのチームメイトとのことでした。
「猪狩、オレの部屋こっち!」
慌ただしく入ってきたのは、今日もユニフォームを泥んこに汚した息子です。息子の連れてくる友達というのは、息子同様泥んこ砂塗れの格好が似合う元気な子ばかりでしたから、私は猪狩くんを見て大層驚きました。
息子は嬉しそうに笑って、猪狩に勉強みてもらうんだ!と言うので、私は「あんまり迷惑掛けちゃいけませんよ」と言い含めました。その様子を珍しそうに、それでいて興味深そうに眺めている猪狩くんが印象的でした。二人は連れ立って、息子の部屋に入っていきました。「猪狩、ゲームやろ!」、早速聞こえた息子の大きな声に、私はやれやれと息をつきました。
さて、その後はどうやら本当に勉強をしていたらしい二人は、夜もずいぶん遅くなって部屋から出てきました。部屋から出てきた猪狩くんに、息子はお礼を言いながら続けました。
「そうだ!猪狩、今日は家泊まってけば?いっつも、お前んち泊まらせてもらってるし」
私は思わず声が出そうになるのをこらえて、息子の顔を見ました。いつも、泊まっている?なんということでしょう、息子は猪狩さんのお宅に今まで散々入り浸っていたようです。野球の練習をして、そのまま友達の家に泊まることがこの頃は多くありましたが、私はこれまたてっきり矢部くんのところだと思っていたのです。何しろ、矢部くんも昔から息子と仲良くしてくれていて、よく泊まっていくものですから。
「急にそんなことを言って、迷惑になるだろう」
「えっ、べつに全然。ねー母さん。晩飯、猪狩の分もあるだろ?」
二人分の視線がこちらに向いて、私は頷きました。息子はそれを見て、勝手に猪狩くんが泊まっていくものだと決めてしまっています。猪狩くんは少し困った顔をしながらも、嬉しそうに見えました。そんな顔すらもとびきり綺麗で、私は心の中で息をつきました。
みんなで夕食を済ませ、お風呂も入っていった猪狩くんは、丁寧に私と夫に頭を下げていき、もうそれだけで育ちの良さが知れるような思いでした。ますます、息子の友達であることが不思議です。夕食の席でも、猪狩くんは私の作ったなんでもない煮物を信じられないほど美しい箸遣いで口に運ぶのでした。ただ食事をしているだけでこんなにも様になる人がいるものなのかと、私は息子のお代わりするご飯をよそいながら考えていました。
なんにせよ、明日の朝になったらきちんと息子に尋ねて、猪狩くんの家にお礼をしなければなりません。息子ときたら肝心なことは何も言わないのですから、昔から変わりません。
夕食の席で、明日の朝は早く起きて早朝練習をすると話していました。そのときの嬉しそうな息子の顔ときたら。私は思わず笑ってしまいました。良いお友達が増えたみたいで、良かった。明日の朝に二人が食べるおむすびをうんと握りながら、私は微笑みました。
了
ーーーーーーーーーー
たまにはこんなのどうでしょう
守さんに抱いているきらきら乙女心が全開になってしまった
PR

