これは嫉妬なんかじゃない
これは嫉妬なんかじゃない(主人公×猪狩守)
授業中、グラウンドの騒がしさに思わず目をやると、そこにはよく見知った人物が大いにはしゃいでいるのだった。ボクの席は窓際いちばん後ろ、少し目をやるだけで、グラウンドの様子がよく見えた。今日の体育は、クラス合同で行われているらしい。パワプロが、矢部と一緒になって走り回っていた。
カチカチカチ。意味もなくシャープペンシルをノックしていたことに気付いて、ボクは無駄に出してしまった芯をしまう。その間にも、パワプロと矢部は何がそんなに楽しいのか、おそらく体育の授業であることも忘れて遊んでいる。カチカチカチ。
「じゃあ、ここ、猪狩。訳せるか?」
「…ああ、はい」
ボクのクラスはいま、古典の時間だった。ぼんやりと窓の外を見ていたボクへの腹いせで、教師はわざわざボクを指したに違いなかった。当てられた箇所をさらりと訳して、席につく。こんなことは、朝飯前だ。正解だったらしいそれに教師はそれ以上何をいうこともなく、そのまま授業は続いていった。そして、グラウンドでは相変わらずパワプロと矢部が大きな声で騒ぎながら遊んでいる。
その様子を眺めながら、思う。パワプロがボクのことを好きなのは知っていた。なんだかんだと理由を付けてはボクの前に現れて、部活に休み時間に放課後まで、パワプロは飽きもせずボクに構っていた。人間、好意を示されることに対して、悪い気はしない。それに、パワプロと一緒にいる時間はキライじゃなかった。あいつといるのは、楽だった。きっとあいつも、そうなんだろう。だから、今日までボクからは何も言わずに黙っていたのに。パワプロは、馬鹿で、不器用で、鈍感だった。
「ちょっと矢部くん待ってよー!」
何がそんなに楽しいのか、パワプロはにこにこと笑いながら矢部を追い掛け回している。だから一体何の時間なんだ、これは。出し過ぎたシャープペンシルの芯がぼきりと折れた。
おまえが構うのは、追いかけるのは、ボクひとりだけで十分だろう。そんなことを思う。どうやら、バカはボクの方だったみたいだ。
了
ーーーーーーーーーーーーーー
猪狩守は主人公のことが大好き。知ってました。
授業中、グラウンドの騒がしさに思わず目をやると、そこにはよく見知った人物が大いにはしゃいでいるのだった。ボクの席は窓際いちばん後ろ、少し目をやるだけで、グラウンドの様子がよく見えた。今日の体育は、クラス合同で行われているらしい。パワプロが、矢部と一緒になって走り回っていた。
カチカチカチ。意味もなくシャープペンシルをノックしていたことに気付いて、ボクは無駄に出してしまった芯をしまう。その間にも、パワプロと矢部は何がそんなに楽しいのか、おそらく体育の授業であることも忘れて遊んでいる。カチカチカチ。
「じゃあ、ここ、猪狩。訳せるか?」
「…ああ、はい」
ボクのクラスはいま、古典の時間だった。ぼんやりと窓の外を見ていたボクへの腹いせで、教師はわざわざボクを指したに違いなかった。当てられた箇所をさらりと訳して、席につく。こんなことは、朝飯前だ。正解だったらしいそれに教師はそれ以上何をいうこともなく、そのまま授業は続いていった。そして、グラウンドでは相変わらずパワプロと矢部が大きな声で騒ぎながら遊んでいる。
その様子を眺めながら、思う。パワプロがボクのことを好きなのは知っていた。なんだかんだと理由を付けてはボクの前に現れて、部活に休み時間に放課後まで、パワプロは飽きもせずボクに構っていた。人間、好意を示されることに対して、悪い気はしない。それに、パワプロと一緒にいる時間はキライじゃなかった。あいつといるのは、楽だった。きっとあいつも、そうなんだろう。だから、今日までボクからは何も言わずに黙っていたのに。パワプロは、馬鹿で、不器用で、鈍感だった。
「ちょっと矢部くん待ってよー!」
何がそんなに楽しいのか、パワプロはにこにこと笑いながら矢部を追い掛け回している。だから一体何の時間なんだ、これは。出し過ぎたシャープペンシルの芯がぼきりと折れた。
おまえが構うのは、追いかけるのは、ボクひとりだけで十分だろう。そんなことを思う。どうやら、バカはボクの方だったみたいだ。
了
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猪狩守は主人公のことが大好き。知ってました。
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