永遠に手が届く
永遠に手が届く(主人公×猪狩守)
「猪狩。話があるんだ」
「なんだい」
「あの、真面目な話なんだけど」
「ああ」
「猪狩。オレ、お前のことが好きなんだ」
「ああ、知っていたよ」
部活が終わったあと、いつのまにか二人だけで練習をするようになったグラウンドでの出来事だ。いつもより練習に熱が入ってしまったせいで夜も遅く、ぽっかりと照らされた照明の下には、オレと猪狩しかいない。なんだか世界で二人きりになったみたい。そんな馬鹿なことを考えてしまうほどにはオレは猪狩にのぼせ上がっていて、どうしようもなく好きになってしまっていた。だから、今しかない。そう思った。
そうして一世一代、オレのすべてを賭けるつもりで放った告白は、猪狩によって一蹴されて終わったのだった。ちゃんちゃん。
「キミ、早く片付けないと、いつまでも帰れないだろう」
「あ、うん」
猪狩はネットにたまったボールを拾いながら、オレを叱るのだった。オレがのろのろとしている間にも、猪狩はマウンドをならしている。
「よし、帰ろう」
片付けが終わったらしい猪狩に声をかけられる。あまりに練習で遅くなった日には、オレたちは着替えもせずにユニフォーム姿のまま帰るのが恒例になっていた。オレたちが終わる頃には部室もとっくに閉められてしまっているので、あらかじめ鞄はグラウンドの適当なところに置いてあった。オレはそれを拾って、もうとっくに歩き出している猪狩の後ろ姿を追い掛けた。
「それで、キミはどうしたいんだい」
「え?」
振り向いた猪狩が、オレの顔を見ながら言う。そこで初めて、オレはさっきの話の続きをしているのだと気付いた。オレの告白は、どうやらなかったことにはされていないようだ。しかし、猪狩の質問の真意は分からない。
「どうって…そりゃあ、その、付き合いたいよ」
「これ以上、何を付き合うっていうんだい」
「えっ?」
「キミとボクは部活で一緒だろ、そのあと、こうしていつも二人で練習してる。部活だけじゃない、休みの日だってそうだ。この前は一緒にバッティングセンターに行って、そのあとキミの家でゲームをしたな。テスト前には泣き付いて来たキミに勉強をみてやった。それからキミはクラスが違うくせにわざわざボクの教室にやって来ては、教科書を借りに来たり、頼んでもいないマンガを持って来たり。キミが言うから、この前はラーメンを一緒に食べにいった。ハンバーガーも。そして今は一緒に帰宅している。これ以上、何に付き合えっていうんだ、キミは?」
「いやあの、そうなんだけど、いや、そういうことじゃなくてさ」
「じゃあ、どういうことだい」
自信満々に言う猪狩に、オレはたじろいだ。そうなんだけど、そうじゃない。どうして猪狩には伝わらないんだろう。猪狩は大きな目を瞬かせてこちらを真っ直ぐに見つめていた。
「だから、オレ、猪狩のことが好きなんだよ」
「だから、知っているよ」
「あ〜話が進まない。なんでだ?これ以上なんて言えばいいんだ?」
「さあね」
猪狩はどこ吹く風で涼しい顔をしている。なんだこれは。打つ手なし。
「あのさあ、猪狩」
「なんだい」
「おまえって、オレの事どう思ってんの?」
「どうって?」
「そのままの意味だよ。好きなのか?嫌いなのか?」
「キミは本当にばかだな。ボクは、キライな人間とは一緒にいないよ」
「そりゃそうだろうけど…」
なんだかトンチのようなナゾナゾのような、そんな気分にすらなってきた。猪狩は前から変なやつだけど、本当に変なやつだったようだ。その変なやつを好きなオレも、変なんだろうけど。
「もういいや。じゃあな猪狩、また明日」
「あ、キミ」
いつも別れる交差点、猪狩に呼び止められて振り返る。街頭の下、猪狩が近付いて来て、そのまま影が重なった。なんだろうと思っているうちに、もう一度。ぽかんとしていると、猪狩が不機嫌そうにオレを睨め付けていた。
「なに変な顔をしてるんだ。キミが言うから、ボクからしてやったんだろう」
なんという不遜な態度。それが、たった今オレのファーストキスを奪っていったやつのする言動か。頭ではそう思っているのに、あまりにのぼせ上がってしまったらしいオレは、そのまま猪狩を抱き寄せて、思い切り腕の中で押しつぶすことしか出来なかった。
「猪狩。猪狩。好きだ」
「だから、知っているよ」
ふてぶてしく言った猪狩の真っ赤な顔を見届けて、オレはかわいくない恋人の唇に口付けを落とすのだった。
了
ーーーーーーーーーーーー
主守!スキ!何度同じ話を書いてもスキ!
「猪狩。話があるんだ」
「なんだい」
「あの、真面目な話なんだけど」
「ああ」
「猪狩。オレ、お前のことが好きなんだ」
「ああ、知っていたよ」
部活が終わったあと、いつのまにか二人だけで練習をするようになったグラウンドでの出来事だ。いつもより練習に熱が入ってしまったせいで夜も遅く、ぽっかりと照らされた照明の下には、オレと猪狩しかいない。なんだか世界で二人きりになったみたい。そんな馬鹿なことを考えてしまうほどにはオレは猪狩にのぼせ上がっていて、どうしようもなく好きになってしまっていた。だから、今しかない。そう思った。
そうして一世一代、オレのすべてを賭けるつもりで放った告白は、猪狩によって一蹴されて終わったのだった。ちゃんちゃん。
「キミ、早く片付けないと、いつまでも帰れないだろう」
「あ、うん」
猪狩はネットにたまったボールを拾いながら、オレを叱るのだった。オレがのろのろとしている間にも、猪狩はマウンドをならしている。
「よし、帰ろう」
片付けが終わったらしい猪狩に声をかけられる。あまりに練習で遅くなった日には、オレたちは着替えもせずにユニフォーム姿のまま帰るのが恒例になっていた。オレたちが終わる頃には部室もとっくに閉められてしまっているので、あらかじめ鞄はグラウンドの適当なところに置いてあった。オレはそれを拾って、もうとっくに歩き出している猪狩の後ろ姿を追い掛けた。
「それで、キミはどうしたいんだい」
「え?」
振り向いた猪狩が、オレの顔を見ながら言う。そこで初めて、オレはさっきの話の続きをしているのだと気付いた。オレの告白は、どうやらなかったことにはされていないようだ。しかし、猪狩の質問の真意は分からない。
「どうって…そりゃあ、その、付き合いたいよ」
「これ以上、何を付き合うっていうんだい」
「えっ?」
「キミとボクは部活で一緒だろ、そのあと、こうしていつも二人で練習してる。部活だけじゃない、休みの日だってそうだ。この前は一緒にバッティングセンターに行って、そのあとキミの家でゲームをしたな。テスト前には泣き付いて来たキミに勉強をみてやった。それからキミはクラスが違うくせにわざわざボクの教室にやって来ては、教科書を借りに来たり、頼んでもいないマンガを持って来たり。キミが言うから、この前はラーメンを一緒に食べにいった。ハンバーガーも。そして今は一緒に帰宅している。これ以上、何に付き合えっていうんだ、キミは?」
「いやあの、そうなんだけど、いや、そういうことじゃなくてさ」
「じゃあ、どういうことだい」
自信満々に言う猪狩に、オレはたじろいだ。そうなんだけど、そうじゃない。どうして猪狩には伝わらないんだろう。猪狩は大きな目を瞬かせてこちらを真っ直ぐに見つめていた。
「だから、オレ、猪狩のことが好きなんだよ」
「だから、知っているよ」
「あ〜話が進まない。なんでだ?これ以上なんて言えばいいんだ?」
「さあね」
猪狩はどこ吹く風で涼しい顔をしている。なんだこれは。打つ手なし。
「あのさあ、猪狩」
「なんだい」
「おまえって、オレの事どう思ってんの?」
「どうって?」
「そのままの意味だよ。好きなのか?嫌いなのか?」
「キミは本当にばかだな。ボクは、キライな人間とは一緒にいないよ」
「そりゃそうだろうけど…」
なんだかトンチのようなナゾナゾのような、そんな気分にすらなってきた。猪狩は前から変なやつだけど、本当に変なやつだったようだ。その変なやつを好きなオレも、変なんだろうけど。
「もういいや。じゃあな猪狩、また明日」
「あ、キミ」
いつも別れる交差点、猪狩に呼び止められて振り返る。街頭の下、猪狩が近付いて来て、そのまま影が重なった。なんだろうと思っているうちに、もう一度。ぽかんとしていると、猪狩が不機嫌そうにオレを睨め付けていた。
「なに変な顔をしてるんだ。キミが言うから、ボクからしてやったんだろう」
なんという不遜な態度。それが、たった今オレのファーストキスを奪っていったやつのする言動か。頭ではそう思っているのに、あまりにのぼせ上がってしまったらしいオレは、そのまま猪狩を抱き寄せて、思い切り腕の中で押しつぶすことしか出来なかった。
「猪狩。猪狩。好きだ」
「だから、知っているよ」
ふてぶてしく言った猪狩の真っ赤な顔を見届けて、オレはかわいくない恋人の唇に口付けを落とすのだった。
了
ーーーーーーーーーーーー
主守!スキ!何度同じ話を書いてもスキ!
PR

