しじまのまにまに
しじまのまにまに
行かないで、なんて言えたら良かった。部活動のあとの自主練習、とっくに日の落ちたグラウンドはがらんとして広かった。煌々と照る照明の下、ぽつり、二人きり。やけに明るく見えるそれが逆に寒々しかった。ボールを片付けるその背に、何も言えないでいる。
「じゃあ、帰ろうか」
今日は、いつか思い出になる。ぜんぶが過去になって、過ぎていく。野球が上手くても、上手くなくても。勉強が出来ても、出来なくても。意中の相手と交際しても、しなくても。結婚しても、しなくても。子供を授かっても、授からなくても。お金があっても、なくても。好きでも、嫌いでも。今日一緒にいても、いなくても。あんなこともあったね、なんて、いつかすべてが思い出になるためだとしたら、言えなかった。悲しい気持ち、嬉しい気持ち。それは今ここにあって、ここにしかないものだった。すべてはいつか過去になって、通り過ぎていくだけの。それなら、なんて言葉で、どんな気持ちで、言えばいいのかな。キミなら知っているんだろうか。
「猪狩、どうしたの」
「なんでもない」
言っても、言わなくても。いつか思い出になる今日の日のために、口を開いた。
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本気ポエム 見せちゃうよ
行かないで、なんて言えたら良かった。部活動のあとの自主練習、とっくに日の落ちたグラウンドはがらんとして広かった。煌々と照る照明の下、ぽつり、二人きり。やけに明るく見えるそれが逆に寒々しかった。ボールを片付けるその背に、何も言えないでいる。
「じゃあ、帰ろうか」
今日は、いつか思い出になる。ぜんぶが過去になって、過ぎていく。野球が上手くても、上手くなくても。勉強が出来ても、出来なくても。意中の相手と交際しても、しなくても。結婚しても、しなくても。子供を授かっても、授からなくても。お金があっても、なくても。好きでも、嫌いでも。今日一緒にいても、いなくても。あんなこともあったね、なんて、いつかすべてが思い出になるためだとしたら、言えなかった。悲しい気持ち、嬉しい気持ち。それは今ここにあって、ここにしかないものだった。すべてはいつか過去になって、通り過ぎていくだけの。それなら、なんて言葉で、どんな気持ちで、言えばいいのかな。キミなら知っているんだろうか。
「猪狩、どうしたの」
「なんでもない」
言っても、言わなくても。いつか思い出になる今日の日のために、口を開いた。
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