メイド服が魅せる夢
9/主守 あかつき野球部伝統行事
「悪かったって」
「…」
「だけどさ、女の子たちはみんな喜んでくれてたし、お店は大盛況だったし、
悪いことばっかりでもなかったと思うけど。…まあ、カレンちゃんが暴走しちゃったのはご愛嬌だとして」
早足で歩き続ける猪狩を追いかけながらその背中に語りかける。
しかし、完全にオレのことを無視しているらしい猪狩は早足のまま勢いよく階段を駆け上がった。
ひざ丈のスカートが目の前でひらひらと揺れている。
なんでこいつってばこんなに足が綺麗なんだろう…
がっちりと鍛え上げられた男の足をまじまじと見ながらオレは考える。猪狩はキレイだ。
男が男をキレイだと表現するのはどうかと思うが、事実なのだから仕方ない。
自分で自分をいちばんカッコイイと言うだけのことはある、見目の麗しい猪狩はメイドの格好をしても随分と似合っていた。迫力のあるメイドさんではあったが。
おかげで出し物の喫茶店は大成功、あかつき野球部の伝統は猪狩のおかげで今年も無事に守られたというわけだ。
「なあ、いい加減機嫌直せって」
「…」
「猪狩!」
「ついてくるなと言っているだろ」
今まで無視を貫いていた猪狩がぴたりと足を止めて振り返った。
すごんだ顔をしてみても、お花のついたカチューシャとカエルの名札がそれを許さない。
オレはにやけてしまいそうになる顔を叱咤するので精一杯だった。
「おい、猪狩」
猪狩はオレの言葉なんか聞かずにどんどんと歩いていく。
教室の中に入っていったのでそのまま追いかけると、目の前でぴしゃりとドアを閉められた。
もう少しで挟まるところだった、危ない。
だいたい猪狩だって、あんな不用意にドアを開け閉めしたら危ないじゃないか。
自慢の黄金の左腕に何かあったらどうするっていうんだ。
「…なんで入ってくるんだ、キミは」
「だって」
「着替えるんだから、あっちに行ってくれ」
カチューシャをぽいと放った猪狩はまたしてもオレを睨み付ける。
見つめ合うこと数秒、猪狩は唐突に視線を外すと、諦めたのかオレに構うことなくエプロンに手をかけた。
本人ははっきりとした色合いの派手な色が好みらしいが、こういう色も似合うものだなとオレはまじまじと観察する。エプロンは、薄ピンクのふわふわだ。猪狩が動くたびにそれはふるふると震えてオレを誘惑する。
エプロンを脱ごうとするその手を制しながらオレは言った。
「待って待って、まだ記念撮影してないし!」
「バカか、キミは」
「いいじゃん、少しくらい!ていうかほんと、予想外に似合ってるというか」
「フン。このボクがこんな格好までしたんだからね」
「って、お前意外と乗り気だったのか?…まあいいや、写メでいいから一枚とらせてよ」
「いやだ」
えー、だって、というオレの抗議の声は猪狩に届かなかった。
届く前に、猪狩の口内に消えたからだ。
「…いきなりなんだよ」
「べつに、いきなりじゃないだろう」
調子に乗った猪狩は再度唇を寄せてくる。
先ほどよりもしっかりと重ねられたそれはオレの思考を乱す。
ちゅ、とわざと大きな音を立てて猪狩は離れていった。
「確かに、まだ着替えるのはもったいないかもな」
「おいちょっと待て猪狩」
「たまには趣向替えというのもいいだろう」
「お前、キャラ違ってないか?」
「キミはこういうのが好きなのだろう?」
ちがうのか?と挑発的な視線を寄越しながら猪狩は近づいてくる。
なんとなくその迫力におされてオレは後ずさったが、すぐ後ろは壁だった。
近づいてくる猪狩の顔を避けようと体を捻ったが、無理な体制だったおかげで勢いづいたまま二人一緒に床へ倒れこんだ。
「いって…」
「いた…全く、このボクが怪我でもしたらどうしてくれるんだ!」
「何言ってんだよ、もとはといえばお前のせいだろ!」
猪狩め、いきなりキスをしておいて何を言うか。
普段、学校にいる時に猪狩から近づいてくることはほとんどない。
放課後に寄り道を提案することさえ嫌な顔をされるくらいなのだ。それがましてキスだなんて。
猪狩もこんな格好をしているせいで普段とは様子が違っているようだ。
ふと思いついて、ほんの悪戯心から猪狩のスカートの中に手を突っ込んでみた。
「あっ!?」
「なーんだ。下はハーフパンツ穿いてるのか」
がっかり、と言いながら、スカートを捲ってハーフパンツの裾から掌を侵入させる。
さわさわと掌を動かし、わざといやらしい手つきで触ると、猪狩は今までも威勢はどうしたのか、急に黙り込んでしおらしくなってしまった。
太ももを撫で上げならオレは言う。
「せっかくのスカートなんだからさ、脱いでよ」
「キミってやつは…」
「趣向替えなんだろ」
言うが早いか早速ハーフパンツをずり下げる。
ハーフパンツを脱がすと、そこには見慣れたトランクスがあった。
猪狩のお気に入りらしい(とオレが勝手に思っている)真っ赤なやつだ。
「お前、スカートにトランクスはないだろ」
「じゃあ他に何を穿けというんだ」
「うーん、まあ確かに…って、ちょっと待て!」
オレが悲鳴を上げたのは他でもない、猪狩が急にオレの中心を握りこんだからだ。しかも思いっきり。ユニフォームの上から。
痛いくらいに握ったと思ったら、今度は撫でるように優しく触れられる。
いつも白球を力強く握りこむ猪狩の左手。
「いきなりなに!」
「女装した男に組み敷かれてこんなに興奮してるだなんて、キミもなかなかの趣味をしているね」
「メイド服で男を押し倒してるお前には言われたくない!」
「もう黙って」
そのまま唇をふさがれる。
いとも簡単に舌の侵入を許してしまったオレの口内はやつの好きなように弄ばれた。
ねっとりと舌を絡めたかと思えば、猪狩は唇を吸ったり食んだりと忙しい。
猪狩はディープキスが好きだ。もっと、もっとと言いたげに口付けは深くなっていく。
普段他人に何かを求めたりしないやつだからこそ、初めはこういったキスをする猪狩に驚いたものだ。
求められるのは心地良い。だって、オレこそ猪狩を求めてやまないのだから。
しかし、何度も角度を変えて交わされた口付けはオレの酸欠を以て突然に終了する。
「ちょ、待って、長すぎ…」
「普段の鍛え方が足りないからそんなことになるんだ」
「関係ないだろそれ…」
口の端からこぼれた唾液を丁寧に舐めとっていった猪狩は、今度は顔中にキスの雨を降らせながらユニフォームのズボンに手をかけてきた。
心地の良いキスにうっとりとしながらも、オレは我に返って体を起こした。
「待て待て、待て!今度はオレの番!」
猪狩の手を制して、オレは交替とばかりに態勢を入れかえた。
猪狩の上にのしかかって、そのまま下着に手をかける。勢いよく引き下げると、そこにはしっかりと反応した猪狩のものがあった。
「猪狩…お前こそ、しっかり興奮してるんじゃん」
「…フン」
スカートの中からのぞく男である象徴。しかも、他でもない猪狩のものだ。
倒錯したその光景にくらくらとした甘い眩暈を覚えながら、オレは猪狩の中心にそっと触れた。
「んっ」
「声は我慢しろよ。…ん、そうだな、机に座って」
猪狩の手を引いて、手近な机に座らせる。
珍しく言うがままにされている猪狩は大人しくそこへ座ると、ほんのり頬を染めて視線を逸らした。
本当に、こんな様子は珍しい。いつもならやむことのない小言が飛んできて、簡単にさせてはくれないというのに。
スカートを穿いているせいで、猪狩も今だけは女の子のような気分を味わっているのだろうか。
たまにはこんな日があったっていい。文化祭万歳だ。
落ち着かないのか、そっぽを向きながら足をぱたぱたと動かしている様子がかわいらしい。
オレは膝をつくと、スカートの中に頭を突っ込んで、猪狩のものを口に含んだ。
「…あっ」
唐突な刺激に驚いたのか、猪狩はひときわ甲高い声を上げて口をつぐんだ。
痛いほどに固くなったそれは、すでに先走りで濡れていた。
その先端を丹念に舐めあげると、猪狩はか細い声を上げて抗議する。
「そこばっかり、やめろ…」
「なんで、猪狩先っぽ好きじゃん」
「ばか、あ」
もう黙ってと言わんばかりに動きを早くする。
先端を唇と舌で刺激しながら、掌全体で柔らかく触れる。
自分では絶対に言わないけれど、これが猪狩のいちばん好きな触れられ方だ。
上下に動かす手を早めながら先端を吸うと、猪狩は気持ちいいのかオレの頭を抱き込んできた。
少し苦しいが、それ以上に嬉しいのでオレは黙って行為を続けることにした。
声を出さないよう必死に我慢している猪狩の浅い息遣いがオレの中心をダイレクトに刺激する。
「な、猪狩。今オレってメイドさんにご奉仕してるんだよな」
「なに言って…」
「気持ちいい?」
「なんで、そんなこと」
「言わなきゃ触ってあげない」
唇を離して猪狩の顔を見つめる。
上目に様子をうかがうと、猪狩は傍目で見ても分かるほど顔を染めてそっぽを向いた。
耳まで真っ赤にして、ふてくされたような顔をしている。
どうして今日はいちいちそんなにかわいいんだ。
猪狩のものを人差し指でなぞるように触れながら、オレはユニフォームの前を緩めた。
「オレももう限界。二人で触りっこしよ」
ズボンと下着を一気に下して立ち上がる。
触れてもいないのに完全に勃ち上がったそれを目の前に差し出すと、猪狩はなんのためらいもなく口の中に入れた。
ちろちろと舌で刺激されて思わずよろめきそうになる。
「あ、猪狩…」
「気持ちいいのか?」
「…当たり前だろ」
気をよくしたらしい猪狩はさらに深く銜え込んできた。
絡まる舌はどこまでも熱い。そのまま溶けてしまいそうだ。
少し汗ばんでいる額に手を這わせて猪狩の前髪をかきあげる。
「猪狩、すごい気持ち良い…」
「…ん」
「オレも、お前の触るからな?」
手で優しく包み込むように触れると、猪狩のそれは掌の中でさらに質量を増したように感じた。
上下に動かしながら、たまに親指で先端をはじいてやる。
それが気持ち良いようで、猪狩はオレのものを口に入れたまま、低く呻いた。
少し歯が当たったが、正直それすらも気持ちが良い。
恥ずかしいことだが、オレは今すぐにでも出してしまいそうなのを必死にこらえていた。
どうせなら、二人で一緒に出したい。
「猪狩、いきそう?」
「だから、そういうことをいちいち聞くな、っア」
お互いの立てる水音がやけに響いていやらしい。
それきり二人とも黙って、目の前の行為に没頭する。
気持ちいいのはオレだけじゃない。猪狩と一緒に気持ちがいいから、オレはこんなにも気持ちいい。
好きだな。強くそう思ったとき、オレはあっけなく熱を吐き出していた。
「だから、悪かったって」
「…」
「でも、猪狩だって乗り気だったじゃん。やる気満々だっただろ」
「…どうするんだ、これを」
「どうしようか…」
お互い熱を吐き出してスッキリした後に残ったのは、無残にも汚れてしまったメイド服と不機嫌極まりない猪狩の顔だった。
行為後の猪狩が不機嫌なのはいつものことだ。
どうやら照れ隠しらしいと気が付いてからはそういう態度もまたツボだったりするのだが、これ以上話をこじらせたくないので今は黙っておくことにする。
「キミが洗えよ」
「なんでオレが!」
「汚したのはキミだろ」
「そりゃオレもそうだけど、だいたい猪狩があんなに出すから…痛い!」
「ばかなこと言ってないでなんとかしてくれ」
「えー…カレンちゃんに洗ってもらう?」
「なんで姫野さんに!」
「案外喜んで洗ってくれそうな気がするけどな」
だってカレンちゃん、オレたちが仲良くしてると機嫌が良いみたいだし。
そう言いながらオレはメイド服を丁寧に畳んで鞄の中に押し込めた。
適当に洗い流してから、あとでクリーニングに持っていこう。
そうこうしているうちにもさっさと身支度を終えたらしい猪狩は教室から出ていこうとしている。
メイド服からついでにユニフォームへと着替えてしまったようだ。
やっぱり猪狩はこの格好がいちばん似合うし、好きだ。
トレードマークの野球帽が今日もぴょこんと上を向いている。
「あ、ちょっと待って!」
「早くしないと練習に遅れる」
「猪狩、今日も勝負だな。昨日は完全にやられちゃったけど、今日はそうはいかないからな」
「フン」
振り向いて笑った猪狩がかわいかったので、オレはもう一度だけキスをした。
今日もいい天気、ばりばり練習して目指すは甲子園だ!
―――――――――――
初めて書いた主守、及びぱわぷろのお話でございました
話し方もキャラクターもまだ自分の中で全く掴めておらず恐ろしいことになっています
当時ブログを始めていなかったためピクシブのみの掲載でしたが、こちらにも引っ越しです
「悪かったって」
「…」
「だけどさ、女の子たちはみんな喜んでくれてたし、お店は大盛況だったし、
悪いことばっかりでもなかったと思うけど。…まあ、カレンちゃんが暴走しちゃったのはご愛嬌だとして」
早足で歩き続ける猪狩を追いかけながらその背中に語りかける。
しかし、完全にオレのことを無視しているらしい猪狩は早足のまま勢いよく階段を駆け上がった。
ひざ丈のスカートが目の前でひらひらと揺れている。
なんでこいつってばこんなに足が綺麗なんだろう…
がっちりと鍛え上げられた男の足をまじまじと見ながらオレは考える。猪狩はキレイだ。
男が男をキレイだと表現するのはどうかと思うが、事実なのだから仕方ない。
自分で自分をいちばんカッコイイと言うだけのことはある、見目の麗しい猪狩はメイドの格好をしても随分と似合っていた。迫力のあるメイドさんではあったが。
おかげで出し物の喫茶店は大成功、あかつき野球部の伝統は猪狩のおかげで今年も無事に守られたというわけだ。
「なあ、いい加減機嫌直せって」
「…」
「猪狩!」
「ついてくるなと言っているだろ」
今まで無視を貫いていた猪狩がぴたりと足を止めて振り返った。
すごんだ顔をしてみても、お花のついたカチューシャとカエルの名札がそれを許さない。
オレはにやけてしまいそうになる顔を叱咤するので精一杯だった。
「おい、猪狩」
猪狩はオレの言葉なんか聞かずにどんどんと歩いていく。
教室の中に入っていったのでそのまま追いかけると、目の前でぴしゃりとドアを閉められた。
もう少しで挟まるところだった、危ない。
だいたい猪狩だって、あんな不用意にドアを開け閉めしたら危ないじゃないか。
自慢の黄金の左腕に何かあったらどうするっていうんだ。
「…なんで入ってくるんだ、キミは」
「だって」
「着替えるんだから、あっちに行ってくれ」
カチューシャをぽいと放った猪狩はまたしてもオレを睨み付ける。
見つめ合うこと数秒、猪狩は唐突に視線を外すと、諦めたのかオレに構うことなくエプロンに手をかけた。
本人ははっきりとした色合いの派手な色が好みらしいが、こういう色も似合うものだなとオレはまじまじと観察する。エプロンは、薄ピンクのふわふわだ。猪狩が動くたびにそれはふるふると震えてオレを誘惑する。
エプロンを脱ごうとするその手を制しながらオレは言った。
「待って待って、まだ記念撮影してないし!」
「バカか、キミは」
「いいじゃん、少しくらい!ていうかほんと、予想外に似合ってるというか」
「フン。このボクがこんな格好までしたんだからね」
「って、お前意外と乗り気だったのか?…まあいいや、写メでいいから一枚とらせてよ」
「いやだ」
えー、だって、というオレの抗議の声は猪狩に届かなかった。
届く前に、猪狩の口内に消えたからだ。
「…いきなりなんだよ」
「べつに、いきなりじゃないだろう」
調子に乗った猪狩は再度唇を寄せてくる。
先ほどよりもしっかりと重ねられたそれはオレの思考を乱す。
ちゅ、とわざと大きな音を立てて猪狩は離れていった。
「確かに、まだ着替えるのはもったいないかもな」
「おいちょっと待て猪狩」
「たまには趣向替えというのもいいだろう」
「お前、キャラ違ってないか?」
「キミはこういうのが好きなのだろう?」
ちがうのか?と挑発的な視線を寄越しながら猪狩は近づいてくる。
なんとなくその迫力におされてオレは後ずさったが、すぐ後ろは壁だった。
近づいてくる猪狩の顔を避けようと体を捻ったが、無理な体制だったおかげで勢いづいたまま二人一緒に床へ倒れこんだ。
「いって…」
「いた…全く、このボクが怪我でもしたらどうしてくれるんだ!」
「何言ってんだよ、もとはといえばお前のせいだろ!」
猪狩め、いきなりキスをしておいて何を言うか。
普段、学校にいる時に猪狩から近づいてくることはほとんどない。
放課後に寄り道を提案することさえ嫌な顔をされるくらいなのだ。それがましてキスだなんて。
猪狩もこんな格好をしているせいで普段とは様子が違っているようだ。
ふと思いついて、ほんの悪戯心から猪狩のスカートの中に手を突っ込んでみた。
「あっ!?」
「なーんだ。下はハーフパンツ穿いてるのか」
がっかり、と言いながら、スカートを捲ってハーフパンツの裾から掌を侵入させる。
さわさわと掌を動かし、わざといやらしい手つきで触ると、猪狩は今までも威勢はどうしたのか、急に黙り込んでしおらしくなってしまった。
太ももを撫で上げならオレは言う。
「せっかくのスカートなんだからさ、脱いでよ」
「キミってやつは…」
「趣向替えなんだろ」
言うが早いか早速ハーフパンツをずり下げる。
ハーフパンツを脱がすと、そこには見慣れたトランクスがあった。
猪狩のお気に入りらしい(とオレが勝手に思っている)真っ赤なやつだ。
「お前、スカートにトランクスはないだろ」
「じゃあ他に何を穿けというんだ」
「うーん、まあ確かに…って、ちょっと待て!」
オレが悲鳴を上げたのは他でもない、猪狩が急にオレの中心を握りこんだからだ。しかも思いっきり。ユニフォームの上から。
痛いくらいに握ったと思ったら、今度は撫でるように優しく触れられる。
いつも白球を力強く握りこむ猪狩の左手。
「いきなりなに!」
「女装した男に組み敷かれてこんなに興奮してるだなんて、キミもなかなかの趣味をしているね」
「メイド服で男を押し倒してるお前には言われたくない!」
「もう黙って」
そのまま唇をふさがれる。
いとも簡単に舌の侵入を許してしまったオレの口内はやつの好きなように弄ばれた。
ねっとりと舌を絡めたかと思えば、猪狩は唇を吸ったり食んだりと忙しい。
猪狩はディープキスが好きだ。もっと、もっとと言いたげに口付けは深くなっていく。
普段他人に何かを求めたりしないやつだからこそ、初めはこういったキスをする猪狩に驚いたものだ。
求められるのは心地良い。だって、オレこそ猪狩を求めてやまないのだから。
しかし、何度も角度を変えて交わされた口付けはオレの酸欠を以て突然に終了する。
「ちょ、待って、長すぎ…」
「普段の鍛え方が足りないからそんなことになるんだ」
「関係ないだろそれ…」
口の端からこぼれた唾液を丁寧に舐めとっていった猪狩は、今度は顔中にキスの雨を降らせながらユニフォームのズボンに手をかけてきた。
心地の良いキスにうっとりとしながらも、オレは我に返って体を起こした。
「待て待て、待て!今度はオレの番!」
猪狩の手を制して、オレは交替とばかりに態勢を入れかえた。
猪狩の上にのしかかって、そのまま下着に手をかける。勢いよく引き下げると、そこにはしっかりと反応した猪狩のものがあった。
「猪狩…お前こそ、しっかり興奮してるんじゃん」
「…フン」
スカートの中からのぞく男である象徴。しかも、他でもない猪狩のものだ。
倒錯したその光景にくらくらとした甘い眩暈を覚えながら、オレは猪狩の中心にそっと触れた。
「んっ」
「声は我慢しろよ。…ん、そうだな、机に座って」
猪狩の手を引いて、手近な机に座らせる。
珍しく言うがままにされている猪狩は大人しくそこへ座ると、ほんのり頬を染めて視線を逸らした。
本当に、こんな様子は珍しい。いつもならやむことのない小言が飛んできて、簡単にさせてはくれないというのに。
スカートを穿いているせいで、猪狩も今だけは女の子のような気分を味わっているのだろうか。
たまにはこんな日があったっていい。文化祭万歳だ。
落ち着かないのか、そっぽを向きながら足をぱたぱたと動かしている様子がかわいらしい。
オレは膝をつくと、スカートの中に頭を突っ込んで、猪狩のものを口に含んだ。
「…あっ」
唐突な刺激に驚いたのか、猪狩はひときわ甲高い声を上げて口をつぐんだ。
痛いほどに固くなったそれは、すでに先走りで濡れていた。
その先端を丹念に舐めあげると、猪狩はか細い声を上げて抗議する。
「そこばっかり、やめろ…」
「なんで、猪狩先っぽ好きじゃん」
「ばか、あ」
もう黙ってと言わんばかりに動きを早くする。
先端を唇と舌で刺激しながら、掌全体で柔らかく触れる。
自分では絶対に言わないけれど、これが猪狩のいちばん好きな触れられ方だ。
上下に動かす手を早めながら先端を吸うと、猪狩は気持ちいいのかオレの頭を抱き込んできた。
少し苦しいが、それ以上に嬉しいのでオレは黙って行為を続けることにした。
声を出さないよう必死に我慢している猪狩の浅い息遣いがオレの中心をダイレクトに刺激する。
「な、猪狩。今オレってメイドさんにご奉仕してるんだよな」
「なに言って…」
「気持ちいい?」
「なんで、そんなこと」
「言わなきゃ触ってあげない」
唇を離して猪狩の顔を見つめる。
上目に様子をうかがうと、猪狩は傍目で見ても分かるほど顔を染めてそっぽを向いた。
耳まで真っ赤にして、ふてくされたような顔をしている。
どうして今日はいちいちそんなにかわいいんだ。
猪狩のものを人差し指でなぞるように触れながら、オレはユニフォームの前を緩めた。
「オレももう限界。二人で触りっこしよ」
ズボンと下着を一気に下して立ち上がる。
触れてもいないのに完全に勃ち上がったそれを目の前に差し出すと、猪狩はなんのためらいもなく口の中に入れた。
ちろちろと舌で刺激されて思わずよろめきそうになる。
「あ、猪狩…」
「気持ちいいのか?」
「…当たり前だろ」
気をよくしたらしい猪狩はさらに深く銜え込んできた。
絡まる舌はどこまでも熱い。そのまま溶けてしまいそうだ。
少し汗ばんでいる額に手を這わせて猪狩の前髪をかきあげる。
「猪狩、すごい気持ち良い…」
「…ん」
「オレも、お前の触るからな?」
手で優しく包み込むように触れると、猪狩のそれは掌の中でさらに質量を増したように感じた。
上下に動かしながら、たまに親指で先端をはじいてやる。
それが気持ち良いようで、猪狩はオレのものを口に入れたまま、低く呻いた。
少し歯が当たったが、正直それすらも気持ちが良い。
恥ずかしいことだが、オレは今すぐにでも出してしまいそうなのを必死にこらえていた。
どうせなら、二人で一緒に出したい。
「猪狩、いきそう?」
「だから、そういうことをいちいち聞くな、っア」
お互いの立てる水音がやけに響いていやらしい。
それきり二人とも黙って、目の前の行為に没頭する。
気持ちいいのはオレだけじゃない。猪狩と一緒に気持ちがいいから、オレはこんなにも気持ちいい。
好きだな。強くそう思ったとき、オレはあっけなく熱を吐き出していた。
「だから、悪かったって」
「…」
「でも、猪狩だって乗り気だったじゃん。やる気満々だっただろ」
「…どうするんだ、これを」
「どうしようか…」
お互い熱を吐き出してスッキリした後に残ったのは、無残にも汚れてしまったメイド服と不機嫌極まりない猪狩の顔だった。
行為後の猪狩が不機嫌なのはいつものことだ。
どうやら照れ隠しらしいと気が付いてからはそういう態度もまたツボだったりするのだが、これ以上話をこじらせたくないので今は黙っておくことにする。
「キミが洗えよ」
「なんでオレが!」
「汚したのはキミだろ」
「そりゃオレもそうだけど、だいたい猪狩があんなに出すから…痛い!」
「ばかなこと言ってないでなんとかしてくれ」
「えー…カレンちゃんに洗ってもらう?」
「なんで姫野さんに!」
「案外喜んで洗ってくれそうな気がするけどな」
だってカレンちゃん、オレたちが仲良くしてると機嫌が良いみたいだし。
そう言いながらオレはメイド服を丁寧に畳んで鞄の中に押し込めた。
適当に洗い流してから、あとでクリーニングに持っていこう。
そうこうしているうちにもさっさと身支度を終えたらしい猪狩は教室から出ていこうとしている。
メイド服からついでにユニフォームへと着替えてしまったようだ。
やっぱり猪狩はこの格好がいちばん似合うし、好きだ。
トレードマークの野球帽が今日もぴょこんと上を向いている。
「あ、ちょっと待って!」
「早くしないと練習に遅れる」
「猪狩、今日も勝負だな。昨日は完全にやられちゃったけど、今日はそうはいかないからな」
「フン」
振り向いて笑った猪狩がかわいかったので、オレはもう一度だけキスをした。
今日もいい天気、ばりばり練習して目指すは甲子園だ!
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初めて書いた主守、及びぱわぷろのお話でございました
話し方もキャラクターもまだ自分の中で全く掴めておらず恐ろしいことになっています
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