風邪ひいた
風邪ひいた
電子レンジが、爆発した。正確に言えば、電子レンジで温めようとした卵が爆ぜたようだ。あんまり大きな音がしたものだから、猪狩はびっくりして何も出来ないままただ呆けていた。そうしているうちに、この家の家主が大慌てですっ飛んできた。
「なんかすごい音がしたけど、大丈夫か!?」
戸を開けたパワプロは、そっちこそ大丈夫なのかと聞き返したくなる出立ちで、熱が上がってきたのか顔は赤いし、寒気がするらしく季節に削ぐわない妙な厚着に、仕上げは額に貼った冷却ジェルシートだ。ついでに、大きなクシャミをしてから鼻を啜った。
「あ〜……もしかして、レンジで卵あっためようとした?」
「……」
「お前、料理なんて全然出来ないのに、慣れないことするから……何作ってくれるつもりだったんだ?」
「べつに何だっていいだろう」
何が嬉しいのか、パワプロはにこにこと笑う。パワプロのこういうところが、苦手だ。どんな顔をしていればいいのか分からない。
「ありがとな」
「礼を言われることは何もしてない」
「そうだな、レンジ完全に壊れてるし」
「……」
「でも、お前に怪我がないならそれでいいよ」
そこまで言うと病人らしく咳き込み出すものだから、猪狩は見兼ねて布団に戻るようパワプロに促した。壊れた家電と片付けは後で家人に連絡してなんとかするとして、目下の問題は、こいつだ。
「風邪を引くなんて、キミはプロとしての自覚が足りない」
「へいへい。申し訳ありませんね」
「……」
「そんな顔するなよ。すぐ治るって」
「当たり前だ」
息苦しそうに言って笑う。なんとかは風邪を引かないという言葉は迷信だったようだ。布団から顔だけ出したパワプロが言う。
「猪狩がキスしてくれたら、治るかも」
「移るからイヤだ。触るな」
「酷!」
「もう寝ていろ」
頭を撫でてやると、パワプロは少しだけ驚いた顔をして、その後で嬉しそうに笑った。何がそんなに嬉しいんだか。だが、それを見て幸せだと思う自分こそ、風邪を引かないなんとかに違いないと猪狩は思った。
了
ーーーーーーーーー
私も守さんに看病されて電子レンジ爆発されてえな(病)
電子レンジが、爆発した。正確に言えば、電子レンジで温めようとした卵が爆ぜたようだ。あんまり大きな音がしたものだから、猪狩はびっくりして何も出来ないままただ呆けていた。そうしているうちに、この家の家主が大慌てですっ飛んできた。
「なんかすごい音がしたけど、大丈夫か!?」
戸を開けたパワプロは、そっちこそ大丈夫なのかと聞き返したくなる出立ちで、熱が上がってきたのか顔は赤いし、寒気がするらしく季節に削ぐわない妙な厚着に、仕上げは額に貼った冷却ジェルシートだ。ついでに、大きなクシャミをしてから鼻を啜った。
「あ〜……もしかして、レンジで卵あっためようとした?」
「……」
「お前、料理なんて全然出来ないのに、慣れないことするから……何作ってくれるつもりだったんだ?」
「べつに何だっていいだろう」
何が嬉しいのか、パワプロはにこにこと笑う。パワプロのこういうところが、苦手だ。どんな顔をしていればいいのか分からない。
「ありがとな」
「礼を言われることは何もしてない」
「そうだな、レンジ完全に壊れてるし」
「……」
「でも、お前に怪我がないならそれでいいよ」
そこまで言うと病人らしく咳き込み出すものだから、猪狩は見兼ねて布団に戻るようパワプロに促した。壊れた家電と片付けは後で家人に連絡してなんとかするとして、目下の問題は、こいつだ。
「風邪を引くなんて、キミはプロとしての自覚が足りない」
「へいへい。申し訳ありませんね」
「……」
「そんな顔するなよ。すぐ治るって」
「当たり前だ」
息苦しそうに言って笑う。なんとかは風邪を引かないという言葉は迷信だったようだ。布団から顔だけ出したパワプロが言う。
「猪狩がキスしてくれたら、治るかも」
「移るからイヤだ。触るな」
「酷!」
「もう寝ていろ」
頭を撫でてやると、パワプロは少しだけ驚いた顔をして、その後で嬉しそうに笑った。何がそんなに嬉しいんだか。だが、それを見て幸せだと思う自分こそ、風邪を引かないなんとかに違いないと猪狩は思った。
了
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私も守さんに看病されて電子レンジ爆発されてえな(病)
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