The world is in your palm.
主人公×猪狩守
「え、猪狩おまえ、風呂入るときっていつもそうなのか?」
「そうだよ」
湯船に浸かっている猪狩はこちらの方を見もしないで言う。猪狩の家の、家というより「大豪邸」の風呂である。家と同様にばかでかいその風呂は、浴槽の広さもすごかった。それに一人ちょこんと浸かりながら、猪狩は手を湯につけないようにして、湯船に浸かっていた。
「お湯につけて、指先の皮膚がふやけるのがいやなんだ。感覚が狂うような気がしてね」
「へえ…そんなもんか」
身体を洗い終えたオレは、よいしょと立ち上がり猪狩と同じ湯船に浸かる。猪狩とは違い、オレは思いっきりその中に浸かって身体を伸ばした。気持ちがいい。こんなに気持ちがいいのに、猪狩は相変わらず興味もなさそうに静かに指先を眺めながら湯に浸かっている。球界のエース、いや、大エース様の指先だ。
「オレ、そんなの全然知らなかった」
「キミに話す理由もないからね」
「ピッチャーが…おまえが、指先の感覚を何より大事にしてるのは知ってたけど、そこまで神経使うもんなのか」
「さあね、人によるんじゃないかい」
相変わらず猪狩は素っ気ない。まるで恋人に対しての態度ではない。こいつは昔からそうだ、初めて会った高校生のときから変わらない。猪狩と過ごすようになって、何年経つだろうか。猪狩が変わらないように、オレも大概変わっていないのだろう。オレは昔から猪狩のこういうところが好きなのだった。オレなんかより野球が大事で、恋人よりも野球が好きな猪狩が好きだった。だからこの気持ちは封印するしかないのだろう。初めて恋人と一緒に風呂に入って浮れている、オレの助平心なんかは特に。
「あ、じゃあ、オレ先に出てるな」
「パワプロ」
猪狩が顔を上げて、こちらを見ていた。湯に浸かっているせいで上気した頬はいつもより血色が良く、薄く開いた唇は濡れていてとても美味そうに見えた。物欲しそうにも見えるその表情に、オレは言葉が詰まった。
「猪狩」
風呂場で反響した声は、やけに響いた。唇を離したときのリップ音まで響くようで、一拍置いて赤面する。そんなオレの様子に、猪狩はいつものようにふてぶてしく笑っているのだった。
猪狩の手の平を、掴む。指を絡めて握っても、猪狩はいやがらなかった。こういうところだと思う。オレは猪狩のこういうところに心底骨抜きにされてしまっている。野球に心を砕き、何よりも自分の身体を大切にして、風呂に入るそのときの指先にまで神経を使っている猪狩が、こうもあっさりとオレにその身体を触れさせる意味。
好きだなあ。こぼれた声は風呂場で大きく反響して、それを聞いた猪狩はやっぱり笑っているのだった。
世界はあなたのてのひらの中
ーーーーーーーーーーーーー
守さんのツンデレ加減って公式さんが絶妙すぎるものだから、自分で表現しようとするとなんだか女王さまのようになってしまう(…)
女王さまの守さんも好きなんですけどね!
指先とお風呂のエピソードは、以前にテレビで見た某ピッチャー様のものを参考にしました。
「え、猪狩おまえ、風呂入るときっていつもそうなのか?」
「そうだよ」
湯船に浸かっている猪狩はこちらの方を見もしないで言う。猪狩の家の、家というより「大豪邸」の風呂である。家と同様にばかでかいその風呂は、浴槽の広さもすごかった。それに一人ちょこんと浸かりながら、猪狩は手を湯につけないようにして、湯船に浸かっていた。
「お湯につけて、指先の皮膚がふやけるのがいやなんだ。感覚が狂うような気がしてね」
「へえ…そんなもんか」
身体を洗い終えたオレは、よいしょと立ち上がり猪狩と同じ湯船に浸かる。猪狩とは違い、オレは思いっきりその中に浸かって身体を伸ばした。気持ちがいい。こんなに気持ちがいいのに、猪狩は相変わらず興味もなさそうに静かに指先を眺めながら湯に浸かっている。球界のエース、いや、大エース様の指先だ。
「オレ、そんなの全然知らなかった」
「キミに話す理由もないからね」
「ピッチャーが…おまえが、指先の感覚を何より大事にしてるのは知ってたけど、そこまで神経使うもんなのか」
「さあね、人によるんじゃないかい」
相変わらず猪狩は素っ気ない。まるで恋人に対しての態度ではない。こいつは昔からそうだ、初めて会った高校生のときから変わらない。猪狩と過ごすようになって、何年経つだろうか。猪狩が変わらないように、オレも大概変わっていないのだろう。オレは昔から猪狩のこういうところが好きなのだった。オレなんかより野球が大事で、恋人よりも野球が好きな猪狩が好きだった。だからこの気持ちは封印するしかないのだろう。初めて恋人と一緒に風呂に入って浮れている、オレの助平心なんかは特に。
「あ、じゃあ、オレ先に出てるな」
「パワプロ」
猪狩が顔を上げて、こちらを見ていた。湯に浸かっているせいで上気した頬はいつもより血色が良く、薄く開いた唇は濡れていてとても美味そうに見えた。物欲しそうにも見えるその表情に、オレは言葉が詰まった。
「猪狩」
風呂場で反響した声は、やけに響いた。唇を離したときのリップ音まで響くようで、一拍置いて赤面する。そんなオレの様子に、猪狩はいつものようにふてぶてしく笑っているのだった。
猪狩の手の平を、掴む。指を絡めて握っても、猪狩はいやがらなかった。こういうところだと思う。オレは猪狩のこういうところに心底骨抜きにされてしまっている。野球に心を砕き、何よりも自分の身体を大切にして、風呂に入るそのときの指先にまで神経を使っている猪狩が、こうもあっさりとオレにその身体を触れさせる意味。
好きだなあ。こぼれた声は風呂場で大きく反響して、それを聞いた猪狩はやっぱり笑っているのだった。
世界はあなたのてのひらの中
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守さんのツンデレ加減って公式さんが絶妙すぎるものだから、自分で表現しようとするとなんだか女王さまのようになってしまう(…)
女王さまの守さんも好きなんですけどね!
指先とお風呂のエピソードは、以前にテレビで見た某ピッチャー様のものを参考にしました。
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