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地獄の季節

地獄の季節(猪狩進)

 夏になると眩暈がする。
「さあ、今日のスポーツニュースはプロ野球からです。今夜はエース対決!巨人は先発猪」
 ブツンと切れて真っ黒な画面を晒すテレビを見ながら、僕は大きく肩で息をついた。少しは気が紛れるかと電源を入れっぱなしにしていたが、やっぱりテレビなんて見るもんじゃない。だからといって、インターネットはもっと見たくなかった。この季節、野球にまつわる話題、トピックスはどこにでも転がっている。
 横になって目を閉じると、瞼の裏にあの夏のマウンドが蘇った。考えたくない。考えたくないのに、網膜に焼き付いてしまったかのようにその光景は自然と頭の中に再生され、あの夏を蒸し返す。甲子園決勝。あのとき、あの場所で、マウンドは自分のものだった。ボールを持つ手の力が徐々に弱くなるのをごまかすように、ロジンを掴んだ。たなびく白煙。延長戦まで縺れ込み、対峙するその人は、かつての友人であり、ライバルであった。暑さのせいで蜃気楼のように映るその先に彼がいる。一球振りかぶって投げるたび、歓声は怒号のように降り注いだ。
 気が付くとうずくまるように小さくなって、肩を抱えていた。痛みはもうない。痛くないはずの肩が、肘が、膝が、未だに疼く。あの夏を最後に、僕は野球が出来なくなった。
 後悔はないのに、夏が来るたび頭が煮えたように熱くなるのは何故だろう。あの日、あの時、野球が出来ないのなら、僕が生きている意味はないと思った。この試合が終わったら死んでもいいから、どうしてもあのマウンドで投げたかった。後悔なんてあるわけない。
「進!自分の足で、ここまでこい!ピッチャーとしてマウンドを任されたからには、最後までしっかりしろ!」
 蒸し暑いのに、背を伝う汗が身体を冷やす。夏になると眩暈がする。




ーーーーーーーーーー
このイベントさ………
進くんはもちろんなんだけど、守さんがほんと守さんなんだよなあ………、、、
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