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なんでもない帰り道

主人公←友沢亮


「わ、あの子かわいい〜」

隣を歩く男がそんなことを言うので、友沢は顔を上げた。少し視線を彷徨わせてみるが、しかし、どの女のことを指しているのか分からなかった。休日、部活帰りに歩く街は人でごった返していた。

「いいな〜。あんなかわいい子が彼女だったら、毎日幸せなんだろうなあ」
「ふうん」

つまらなさそうに、実際つまらない気持ちで相槌を打って、友沢は隣で話すパワプロの顔を見る。
「かわいい」だなんて言われたいわけもないのに、面白くない気持ちになるのはなぜだ。むしゃくしゃして、口には出せない感情が胸いっぱいに広がる。
この胸に膨らみがあれば。この身体がもっと小さくて柔らかければ。こいつが言う「かわいい」を手に入れることが出来るのならば。
そんな下らないことが頭に浮かんで、友沢は思わず笑ってしまった。

「友沢、なんか今日は機嫌良さそうだな」
「べつに」
「なあ、もうちょっとだけ練習してかないか?」
「もう完全に日も暮れるだろ。それに、これ以上やるのはオーバーワークだぞ」
「そうなんだけどさあ。なんか物足りないっていうか」
「うち、来るか」
「友沢の家?」
「嫌なら、べつにいい」
「いやなんて言ってないじゃん!行く行く!」
「そうか」

なにが嬉しいのか、パワプロは隣でにこにこ笑っている。それをかわいいと思ってしまった自分に、友沢はやっぱり笑ってしまった。

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片思いをする友沢亮くんに夏を感じています

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