ファーストキッスはレモン味
ファーストキッスはレモン味 (主友)
事実として、ファーストキスはレモン味ではなかった。というより、味なんて全然分からなかった。
友沢と居残り練習をした帰り、部室で着替えていた。他の部員はとっくに帰宅してしまっているから、二人きりだ。アンダーを脱ぎながら友沢が何か言って振り返る、首筋から汗が一筋流れて、オレはその腕を掴んだ。ほんの一瞬目が合って、唇を押し付けた。
オレは、友沢にキスをした。友沢は何も言わなかった。嫌がるどころかそのまま瞼を下ろすものだから、絶対拒否されるだろうと思っていたオレは逆に面食らってしまう。合わさる唇、重なる吐息、どれだけそうしていたのか、オレは唇を離して友沢を見た。
「もう、終わりか」
そんなことを言う。オレが黙っていると今度は友沢の方から近づいてきて、蛍光灯の下で影が重なった。おい、胸ぐらを掴むな。そう言いたかった声は友沢の口の中に呑まれて、オレも黙って目を閉じるしかなかった。
「友沢、怒んないの」
「なにを」
そのあとは二人黙って着替えをして、そっと部室を後にした。練習後の火照った身体に夜風が気持ち良い。しかし今日に限っては、火照っている原因はそれだけではなかった。秋深まり季節はまもなく冬になる、冷たい風に吹かれてもオレの顔は熱いままだった。
「いきなり、ごめん」
「謝るくらいなら、するな」
確かに。どうやら友沢は、あんまり気にしていないようだ。変なやつ。オレだったら、いきなりチームメイトからキスなんてされた日には、びっくりしちゃうけどな。
「ところでさ、友沢」
「なんだ」
「さっきは全然分かんなかったから、今度はゆっくり確認してもいい?」
「何を?」
ファーストキスはレモン味って、ほんとなのかな。笑う友沢の手を引いて、オレは慎んで交際を申し込んだ。
了
ーーーーーー
しゅ〜とも〜
事実として、ファーストキスはレモン味ではなかった。というより、味なんて全然分からなかった。
友沢と居残り練習をした帰り、部室で着替えていた。他の部員はとっくに帰宅してしまっているから、二人きりだ。アンダーを脱ぎながら友沢が何か言って振り返る、首筋から汗が一筋流れて、オレはその腕を掴んだ。ほんの一瞬目が合って、唇を押し付けた。
オレは、友沢にキスをした。友沢は何も言わなかった。嫌がるどころかそのまま瞼を下ろすものだから、絶対拒否されるだろうと思っていたオレは逆に面食らってしまう。合わさる唇、重なる吐息、どれだけそうしていたのか、オレは唇を離して友沢を見た。
「もう、終わりか」
そんなことを言う。オレが黙っていると今度は友沢の方から近づいてきて、蛍光灯の下で影が重なった。おい、胸ぐらを掴むな。そう言いたかった声は友沢の口の中に呑まれて、オレも黙って目を閉じるしかなかった。
「友沢、怒んないの」
「なにを」
そのあとは二人黙って着替えをして、そっと部室を後にした。練習後の火照った身体に夜風が気持ち良い。しかし今日に限っては、火照っている原因はそれだけではなかった。秋深まり季節はまもなく冬になる、冷たい風に吹かれてもオレの顔は熱いままだった。
「いきなり、ごめん」
「謝るくらいなら、するな」
確かに。どうやら友沢は、あんまり気にしていないようだ。変なやつ。オレだったら、いきなりチームメイトからキスなんてされた日には、びっくりしちゃうけどな。
「ところでさ、友沢」
「なんだ」
「さっきは全然分かんなかったから、今度はゆっくり確認してもいい?」
「何を?」
ファーストキスはレモン味って、ほんとなのかな。笑う友沢の手を引いて、オレは慎んで交際を申し込んだ。
了
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しゅ〜とも〜
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