恋わずらうひと
恋わずらうひと(主人公×友沢亮)
「友沢くんって、かっこいい!」
幼い頃から今日に至るまで、散々聞かされてきたその言葉を友沢は思い出していた。他者から与えられる己の評価に対して興味はなく、まして自身の外見に関することとなればなおのこと。
なぜなら、そんなものは野球の技術や良し悪しに全く関係がないからだ。その態度がまたストイックだとか、クールだとか、とかく友沢の評価をうなぎのぼりにさせる要因の一つであるのだが、友沢はこれまたこれっぽっちも興味がない。
しかし、ここにきてなぜそんなことを思い出しているのかというと、隣を歩く一人の男が原因であった。呑気に笑っている、この愚鈍な恋人に対して自身が勝負できる、すなわちアプローチできるところがあるとすれば、これしかないと思ったのだ。
友沢がこんなことを考えているとはちっとも知らずに、隣を歩くパワプロはいつもの通りにこにこと笑って他愛のない話をしている。
部活動の練習が終わった帰り道、二人で歩くこの道は恒例のものとなりつつあった。時々は練習後にラーメンを食べて帰ったり、コンビニに寄ったり、公園に寄り道したりして、友沢とパワプロは清く正しい学生らしい交際を続けていた。
パワプロの話に適当な相槌を打ちながら、友沢の胸中たるやぐるぐると思惑が渦巻いている。
クールで、ストイックで、ポーカーフェイスで、かっこいい友沢亮といえども、中身は平凡な高校生、ただの健全な男子高校生なのである。付き合うようになってそこそこの時間を重ねたいま、恋人としてさらなるステップを踏みたいと思うのも当然の欲求であるだろう。平たく言うと、友沢は欲求不満なのであった。
「でさあ…友沢、聞いてる?」
聞いている。だんだんイライラしてきた友沢は、声には出さずに心の中で返事をした。友沢がこんなにも毎日、毎晩、もやもやしているにも関わらず、パワプロときたらいつもこんな調子で、にこにこ呑気に笑って世間話を続けているのだ。こっちの気持ちも知らないで、いや一度も口にしたことがないのだから伝わるわけもないのだが、恋煩いに忙しい友沢は己の正論をかざして怒っている。
もうすぐ、分かれ道の交差点に差し掛かる。あそこまで歩いたら、友沢は右に曲がって、パワプロはその反対の道に帰っていく。だから、友沢は、意を決した。勝負だ。
「えっ、なに友沢、顔近いんだけど…」
立ち止まったパワプロの顔に、ぐっと近付く。べつに何を言うこともない。今まで散々聞かされてきた「かっこいい」が武器になるのなら、これしかないだろうという確信を持っての行動だ。沈黙、そして静寂。
「なんかよく分かんないけど、友沢ってかわいいよな、急に突拍子もないことするし」
するりとかわされたパワプロにそんなことを言われて、友沢は目を瞬かせた。かわいい。かわいい?なんだろうそれは。全く意図しないことを言われ、反応が鈍くなる。ぶに、と鼻先を摘まれて友沢が目を白黒させていると、そんな様子を見たパワプロはやっぱりころころと笑っているのだった。
なんで分からないんだこの鈍感、かわいいなんて言われて嬉しいなんて嘘だ、パワプロの馬鹿、いろんな気持ちを煮詰めた友沢がパワプロの胸ぐらを掴んでその唇を奪うのは、ほんの十数秒後の話であった。
了
ーーーーーーーーーーーーー
こういう主友がどうしようもなく好きですね
今まで自分の容姿に無頓着だった美形が、恋人の気を引きたいために自分の容姿について考え直す感じ、とっても好き、かわいらしい、いじらしい
友沢くん、幸せになってね
「友沢くんって、かっこいい!」
幼い頃から今日に至るまで、散々聞かされてきたその言葉を友沢は思い出していた。他者から与えられる己の評価に対して興味はなく、まして自身の外見に関することとなればなおのこと。
なぜなら、そんなものは野球の技術や良し悪しに全く関係がないからだ。その態度がまたストイックだとか、クールだとか、とかく友沢の評価をうなぎのぼりにさせる要因の一つであるのだが、友沢はこれまたこれっぽっちも興味がない。
しかし、ここにきてなぜそんなことを思い出しているのかというと、隣を歩く一人の男が原因であった。呑気に笑っている、この愚鈍な恋人に対して自身が勝負できる、すなわちアプローチできるところがあるとすれば、これしかないと思ったのだ。
友沢がこんなことを考えているとはちっとも知らずに、隣を歩くパワプロはいつもの通りにこにこと笑って他愛のない話をしている。
部活動の練習が終わった帰り道、二人で歩くこの道は恒例のものとなりつつあった。時々は練習後にラーメンを食べて帰ったり、コンビニに寄ったり、公園に寄り道したりして、友沢とパワプロは清く正しい学生らしい交際を続けていた。
パワプロの話に適当な相槌を打ちながら、友沢の胸中たるやぐるぐると思惑が渦巻いている。
クールで、ストイックで、ポーカーフェイスで、かっこいい友沢亮といえども、中身は平凡な高校生、ただの健全な男子高校生なのである。付き合うようになってそこそこの時間を重ねたいま、恋人としてさらなるステップを踏みたいと思うのも当然の欲求であるだろう。平たく言うと、友沢は欲求不満なのであった。
「でさあ…友沢、聞いてる?」
聞いている。だんだんイライラしてきた友沢は、声には出さずに心の中で返事をした。友沢がこんなにも毎日、毎晩、もやもやしているにも関わらず、パワプロときたらいつもこんな調子で、にこにこ呑気に笑って世間話を続けているのだ。こっちの気持ちも知らないで、いや一度も口にしたことがないのだから伝わるわけもないのだが、恋煩いに忙しい友沢は己の正論をかざして怒っている。
もうすぐ、分かれ道の交差点に差し掛かる。あそこまで歩いたら、友沢は右に曲がって、パワプロはその反対の道に帰っていく。だから、友沢は、意を決した。勝負だ。
「えっ、なに友沢、顔近いんだけど…」
立ち止まったパワプロの顔に、ぐっと近付く。べつに何を言うこともない。今まで散々聞かされてきた「かっこいい」が武器になるのなら、これしかないだろうという確信を持っての行動だ。沈黙、そして静寂。
「なんかよく分かんないけど、友沢ってかわいいよな、急に突拍子もないことするし」
するりとかわされたパワプロにそんなことを言われて、友沢は目を瞬かせた。かわいい。かわいい?なんだろうそれは。全く意図しないことを言われ、反応が鈍くなる。ぶに、と鼻先を摘まれて友沢が目を白黒させていると、そんな様子を見たパワプロはやっぱりころころと笑っているのだった。
なんで分からないんだこの鈍感、かわいいなんて言われて嬉しいなんて嘘だ、パワプロの馬鹿、いろんな気持ちを煮詰めた友沢がパワプロの胸ぐらを掴んでその唇を奪うのは、ほんの十数秒後の話であった。
了
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こういう主友がどうしようもなく好きですね
今まで自分の容姿に無頓着だった美形が、恋人の気を引きたいために自分の容姿について考え直す感じ、とっても好き、かわいらしい、いじらしい
友沢くん、幸せになってね
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