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流れ星がながれたら

流れ星がながれたら

「あっ、流れ星!」
 隣を歩く男が、夜の空を指して言う。月のない夜に星々はキラキラと瞬いていたが、友沢が顔を上げた時にはもう、それは見えなくなっていた。
「友沢、見れた?」
「見れなかった」
「そっか。残念だったな」
「今日はやらないのか、あれ」
 少し前のことを思い出して、友沢は茶化すように聞いてみた。あの日も、今日みたいに部活動が終わった後、ふたりだけで居残り練習した帰り道だった。あの時も流れ星を見たらしい隣の男は、願いごとを叶えてもらうのだと言って随分と熱心に手を合わせていた。
 流れ星が光っている間に三回願いを唱えると、それを叶えてくれるらしい。そういえば、昔幼い弟妹に読んであげた絵本にも、そんなことが書いてあったっけ。確か、流れ星が見えている瞬間には天の扉が開いていて、神様がこちらを見ているから願いごとを叶えてくれるのだと書いてあった。神様なんて、いるわけないのに。絵本を読み上げながら、そんなことを思っていた。
「この前のオレの願いごとはもう叶っちゃったからさ、今度は自分の力で叶えるよ」
「そうなのか」
「うん」
「それって、お前の願いごとって、なんだったんだ」
 意味ありげにこちらの顔を見る男の意図が、友沢には分からなかった。黙ったまままばたきを繰り返していると、男が嬉しそうに言う。
「ずっと、ずーっと友沢が隣にいてくれますようにって、お願いしたんだ!」
「……」
「なんだよ、その顔」
 なんて返事をしたらいいのか分からなくて、咄嗟に友沢が口にしたのは、実に可愛げのない言葉だった。
「ずっと隣にいるなんて、いつ約束したんだ」
「いてくれないの?」
「……いる、けど」
 満面の笑みを浮かべる男の顔が、それこそ星なんかよりもよっぽど眩しくて友沢は困った。顔を見ていられなくて、わざと明後日の方を見る。
「友沢のそんな顔、初めて見た」
「そうかよ」
「もっとよく見せて」
 いやだと言ったはずなのに、そっぽを向いて逃れたはずなのに、友沢は簡単に捕まって男の腕の中にいた。
 瞼を下ろして二人の影がひとつになる頃、もう一度流れ星がながれていったことに友沢は気が付かなかった。




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主友好きだなーってしみじみ実感してます

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