のぼせる
のぼせる(主人公×猪狩守)
よく晴れたある夏の日。青い空、白い雲、風ひとつない真夏のグラウンドは灼熱の暑さで、かげろうが立ち上って見えるほどだった。マウンドに立ち、グラブの中でボールの感触を確かめた時だ。鼻の奥からつう、と伝って垂れる感覚は久しく忘れていたもので、それが鼻血だと気付くまで少し時間がかかった。あまりの暑さにのぼせてしまったのだろうかと、そんなことを考えついた間に横から腕が伸びて来て、鼻を拭われていた。
「猪狩、大丈夫か?こんなので、悪いけど」
いつの間にやって来たのか、パワプロが自分の鼻をおさえている。拭った長袖のアンダーシャツはすっかり汚れてしまったが、全く意に介していないようだ。
「上向くなよ。そう、鼻押さえて」
言われるまま親指と人差し指でそこを押さえ、ベンチまで戻ってタオルを掴んだ。監督に向かって、医務室に行って来ますと言ったのは、ボクよりもパワプロの声の方が早かった。
***
「え?なにそれ、そんなことあったっけ」
猪狩ってさ、いつオレのこと好きになったの。そんな馬鹿げた戯言に真面目に答えてやったというのに、質問した当人はさらにふざけたことを言っている。思わず傾けたグラスを一気に飲み干すと、慌てて心配するような声が降ってきた。こんなこと、酔ってでもいなければ言えるものか。チェーン店の大衆居酒屋だったが、 半個室になっているおかげで周りには見えない。ざわざわと騒がしい喧騒だけが遠巻きに聞こえてくる。
「それって、結構昔のことじゃないか?高校生のとき?」
「そうだよ」
「よく覚えてるなあ。ていうか、なんでそれで好きになるの」
「うるさいな。知らないよ。もう黙れ」
「なに急に怒ってんだよ」
恥ずかしいような悔しいような、なんだかそういう気持ちになって、ボクは店員を呼び止めて追加のビールを注文した。おい猪狩、と嗜める声を無視する。
「あー。なんか、だんだん思い出して来たかも。そうだ、紅白戦のときじゃなかったっけ」
「……」
「あ、それこっちのです」
ビールを持って来た店員に礼を言って受け取ったパワプロは、どうやらこれ以上ボクに飲ませてくれるつもりはないらしかった。空いたグラスを片付けている店員に、今度はソフトドリンクを追加で注文している。
「それで、キミは?」
「ん?」
「だから!キミの方こそ、いつボクのことを好きになったんだい」
ボクがわざわざこんな恥ずかしい話をしてやったのだから、当然パワプロにも同じ目にあってもらわなければ割に合わない。そう思うのにパワプロはビールを傾けては首を捻るばかりで、それを見ていたらボクは本格的に腹が立って来た。飲んでいるビールを頭からかけてやりたい気分だ。
「そんなに怒るなよ」
「うるさい。キミのことなんて全然好きじゃない」
「ほんとに?」
正面から瞳がかち合う。真っ直ぐにこちらを見つめるその顔に、弱かった。逸らされることなく向けられる眼差しは柔らかく、結局何も言えなくなる。観念したボクが呟いた言葉に、パワプロが微笑んだ。
「猪狩のこと、きっかけなんて忘れちゃうくらいずっと前から好きだったよ。それじゃダメ?」
そうやってこちらの顔を見ながら、甘えたような声を出す。いつもの手口だと分かっているのに、何も言えなかった。
「猪狩、顔真っ赤。鼻血出すなよ」
キミといるといつもこうだよ。さっき追加で注文したソフトドリンクを受け取りながら、そんなことを考えていた。
了
ーーーーーーーー
この店員は私です♡と言って読んだ人全員白けさせよかな
(すみません申し訳ございません陳謝主守ラブラブパワー)
よく晴れたある夏の日。青い空、白い雲、風ひとつない真夏のグラウンドは灼熱の暑さで、かげろうが立ち上って見えるほどだった。マウンドに立ち、グラブの中でボールの感触を確かめた時だ。鼻の奥からつう、と伝って垂れる感覚は久しく忘れていたもので、それが鼻血だと気付くまで少し時間がかかった。あまりの暑さにのぼせてしまったのだろうかと、そんなことを考えついた間に横から腕が伸びて来て、鼻を拭われていた。
「猪狩、大丈夫か?こんなので、悪いけど」
いつの間にやって来たのか、パワプロが自分の鼻をおさえている。拭った長袖のアンダーシャツはすっかり汚れてしまったが、全く意に介していないようだ。
「上向くなよ。そう、鼻押さえて」
言われるまま親指と人差し指でそこを押さえ、ベンチまで戻ってタオルを掴んだ。監督に向かって、医務室に行って来ますと言ったのは、ボクよりもパワプロの声の方が早かった。
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「え?なにそれ、そんなことあったっけ」
猪狩ってさ、いつオレのこと好きになったの。そんな馬鹿げた戯言に真面目に答えてやったというのに、質問した当人はさらにふざけたことを言っている。思わず傾けたグラスを一気に飲み干すと、慌てて心配するような声が降ってきた。こんなこと、酔ってでもいなければ言えるものか。チェーン店の大衆居酒屋だったが、 半個室になっているおかげで周りには見えない。ざわざわと騒がしい喧騒だけが遠巻きに聞こえてくる。
「それって、結構昔のことじゃないか?高校生のとき?」
「そうだよ」
「よく覚えてるなあ。ていうか、なんでそれで好きになるの」
「うるさいな。知らないよ。もう黙れ」
「なに急に怒ってんだよ」
恥ずかしいような悔しいような、なんだかそういう気持ちになって、ボクは店員を呼び止めて追加のビールを注文した。おい猪狩、と嗜める声を無視する。
「あー。なんか、だんだん思い出して来たかも。そうだ、紅白戦のときじゃなかったっけ」
「……」
「あ、それこっちのです」
ビールを持って来た店員に礼を言って受け取ったパワプロは、どうやらこれ以上ボクに飲ませてくれるつもりはないらしかった。空いたグラスを片付けている店員に、今度はソフトドリンクを追加で注文している。
「それで、キミは?」
「ん?」
「だから!キミの方こそ、いつボクのことを好きになったんだい」
ボクがわざわざこんな恥ずかしい話をしてやったのだから、当然パワプロにも同じ目にあってもらわなければ割に合わない。そう思うのにパワプロはビールを傾けては首を捻るばかりで、それを見ていたらボクは本格的に腹が立って来た。飲んでいるビールを頭からかけてやりたい気分だ。
「そんなに怒るなよ」
「うるさい。キミのことなんて全然好きじゃない」
「ほんとに?」
正面から瞳がかち合う。真っ直ぐにこちらを見つめるその顔に、弱かった。逸らされることなく向けられる眼差しは柔らかく、結局何も言えなくなる。観念したボクが呟いた言葉に、パワプロが微笑んだ。
「猪狩のこと、きっかけなんて忘れちゃうくらいずっと前から好きだったよ。それじゃダメ?」
そうやってこちらの顔を見ながら、甘えたような声を出す。いつもの手口だと分かっているのに、何も言えなかった。
「猪狩、顔真っ赤。鼻血出すなよ」
キミといるといつもこうだよ。さっき追加で注文したソフトドリンクを受け取りながら、そんなことを考えていた。
了
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この店員は私です♡と言って読んだ人全員白けさせよかな
(すみません申し訳ございません陳謝主守ラブラブパワー)
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