kiss me!!
今まで生きてきて、自分の見た目について関心を持ったことなど一度もなかった。容姿、外見、見目、顔の良し悪し。そんなものは野球をするのに一切関係がないからだ。友沢亮という人間は、そういう考えを持って生きてきた。己の容姿など、最も興味のないことのうちのひとつだった。あの日までは。
「友沢、かわいい」
あの日、そんなことを言って顔を寄せてきた男のことを思い出すと、友沢はいても経ってもいられなくなる。キスを、そう、正真正銘友沢にとって初めてのキスを、あろうことかそんなことを言いながら奪った男は、はにかみながら頬を赤らめ、自分の方がよほどかわいらしい態度であった。友沢といえば、いつもの通り表情筋の動きに乏しいその顔のまま、黙っていただけだ。
鏡をまじまじと見る。かわいい。かわいいのか、これが。今までこんな風に鏡を覗き込んだこともなければ、己の面差しについて何ら感想を持ったこともないので分からない。とにかく分からない。
「友沢、遅かったけど大丈夫か?そんなに飲んでなかった気がするけど、気分悪い?」
「いや、べつに」
友沢は大丈夫と答えたのだが、相手はそろそろ出ようかと言って伝票を持った。騒がしい大衆居酒屋の一角、長々とトイレから帰ってこなかった友沢を相手は心配した目で見ている。特別酔ってなどいないのに、友沢はまるで酔った時のように顔や身体が熱っぽくなるのを感じていた。どくり、胸が跳ねる。相手の目に今の自分はどんな風に映っているのか、そんなことばかりが気になっていた。
「あそこ、安いわりに美味かったな」
きっちりワリカンでの会計を済ませて外へ出ると、男はお腹いっぱい!と言って満足そうに笑っていた。そろそろ冬の足音が聞こえてきそうな夜だったが、火照った身体には冷たい風も心地良くて、友沢はつられたように口元を緩めた。腹ごなしとばかりに、わざと遠回りをして歩いて帰る。
「じゃあ、また明日な。友沢」
駅の方に歩いて行きながら手を振る男に友沢は頷いて、そのままその背中を眺めていた。今日はキスされなかった。今日の自分は、かわいくなかったからだろうか。馬鹿な。一体何を考えているんだ。早く帰って素振りでもして、一刻も早くこんな思考は打ち消さなければいけない。ふいに、男が振り返る。見るな。自分が今どんな顔をしているのかなんて知りたくもないのに、こちらへやって来た男は友沢を見て言った。
「そんなかわいい顔されると、帰りたくなくなるんだけど」
かわいい、誰が、自分が、まさか、かわいいなんて言われて嬉しいなんて、嘘だ!叫び出したい友沢の唇を男が塞いでしまったので、友沢は今日もやっぱり黙っている。かわりに服の裾を掴んでもう一度と、ねだった。
kiss me!!
ーーーーーーー
すぐ乙女チック沢亮くんにしてしまうけどこういうのが好きなんだ!!!!!!(拳を突き上げる絵文字)
「友沢、かわいい」
あの日、そんなことを言って顔を寄せてきた男のことを思い出すと、友沢はいても経ってもいられなくなる。キスを、そう、正真正銘友沢にとって初めてのキスを、あろうことかそんなことを言いながら奪った男は、はにかみながら頬を赤らめ、自分の方がよほどかわいらしい態度であった。友沢といえば、いつもの通り表情筋の動きに乏しいその顔のまま、黙っていただけだ。
鏡をまじまじと見る。かわいい。かわいいのか、これが。今までこんな風に鏡を覗き込んだこともなければ、己の面差しについて何ら感想を持ったこともないので分からない。とにかく分からない。
「友沢、遅かったけど大丈夫か?そんなに飲んでなかった気がするけど、気分悪い?」
「いや、べつに」
友沢は大丈夫と答えたのだが、相手はそろそろ出ようかと言って伝票を持った。騒がしい大衆居酒屋の一角、長々とトイレから帰ってこなかった友沢を相手は心配した目で見ている。特別酔ってなどいないのに、友沢はまるで酔った時のように顔や身体が熱っぽくなるのを感じていた。どくり、胸が跳ねる。相手の目に今の自分はどんな風に映っているのか、そんなことばかりが気になっていた。
「あそこ、安いわりに美味かったな」
きっちりワリカンでの会計を済ませて外へ出ると、男はお腹いっぱい!と言って満足そうに笑っていた。そろそろ冬の足音が聞こえてきそうな夜だったが、火照った身体には冷たい風も心地良くて、友沢はつられたように口元を緩めた。腹ごなしとばかりに、わざと遠回りをして歩いて帰る。
「じゃあ、また明日な。友沢」
駅の方に歩いて行きながら手を振る男に友沢は頷いて、そのままその背中を眺めていた。今日はキスされなかった。今日の自分は、かわいくなかったからだろうか。馬鹿な。一体何を考えているんだ。早く帰って素振りでもして、一刻も早くこんな思考は打ち消さなければいけない。ふいに、男が振り返る。見るな。自分が今どんな顔をしているのかなんて知りたくもないのに、こちらへやって来た男は友沢を見て言った。
「そんなかわいい顔されると、帰りたくなくなるんだけど」
かわいい、誰が、自分が、まさか、かわいいなんて言われて嬉しいなんて、嘘だ!叫び出したい友沢の唇を男が塞いでしまったので、友沢は今日もやっぱり黙っている。かわりに服の裾を掴んでもう一度と、ねだった。
kiss me!!
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すぐ乙女チック沢亮くんにしてしまうけどこういうのが好きなんだ!!!!!!(拳を突き上げる絵文字)
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