今夜、二人のベッドで
今夜、二人のベッドで
息を整えている猪狩の前髪をかき上げ、汗を拭き、身体をきれいにしたあとでオレはベッドサイドに置いてあった水を取った。そうしてシャツを着ようとしたところで、布団の中から猪狩の声が飛んでくる。
「おい」
あんまりかわいくなさすぎて、オレは笑ってしまいそうになるが、なんとか堪える。オレには、猪狩の言いたいことが分かる。猪狩のそれは、なんと、たぶんオレにしか分からないと思うが、精一杯のおねだりだった。世界中のどこを探したって、絶対オレにしか分からない自信がある。
「ダーメ。猪狩、声掠れてんじゃん」
「べつに、そんなことない」
「のど飴持ってくるよ」
「そんなのいい」
「おい猪狩」
猪狩の手が伸びてきて、そのまま布団の中に引き摺り込まれる。空になったペットボトルの容器が床に落ちて、カラリと音を立てた。
「キミは、ボクとしたくないのか」
「いや、今したじゃん」
睨め付けるその顔はどう見ても恋人に向けるものではなかったし、まして夜のお誘いを(しかもおかわりを)する表情には到底見えなかった。不機嫌そうな頬に手をやると、大袈裟に払われた後でフンと顔を背けられる。こいつ、本当にオレのこと好きなのかな。だけど、そういう猪狩を好きなのはオレなので、結構どうしようもない。
「オレが我慢してるときに、そういうことするよな猪狩って」
「そんなの、頼んでない」
「お前が大事なんだよ」
そうやって静かにして赤くなっているときは、かわいいのにな。両手で猪狩の頬を挟んで、キスをする。求めるまま、求められるまま深くなっていく口付けの前には、自制も我慢もまるで意味がなくなって、オレは再び猪狩を腕の中に抱いた。
「な、猪狩」
「……うるさいな」
「まだ何も言ってないんだけど」
「好きだ、キミのことが、どうしようもなく」
世界でいちばんかわいい恋人を捕まえて、オレはぎゅうと頬擦りをした。今夜はきっと、眠れない。
了
ーーーーーーーー
好きだな〜
息を整えている猪狩の前髪をかき上げ、汗を拭き、身体をきれいにしたあとでオレはベッドサイドに置いてあった水を取った。そうしてシャツを着ようとしたところで、布団の中から猪狩の声が飛んでくる。
「おい」
あんまりかわいくなさすぎて、オレは笑ってしまいそうになるが、なんとか堪える。オレには、猪狩の言いたいことが分かる。猪狩のそれは、なんと、たぶんオレにしか分からないと思うが、精一杯のおねだりだった。世界中のどこを探したって、絶対オレにしか分からない自信がある。
「ダーメ。猪狩、声掠れてんじゃん」
「べつに、そんなことない」
「のど飴持ってくるよ」
「そんなのいい」
「おい猪狩」
猪狩の手が伸びてきて、そのまま布団の中に引き摺り込まれる。空になったペットボトルの容器が床に落ちて、カラリと音を立てた。
「キミは、ボクとしたくないのか」
「いや、今したじゃん」
睨め付けるその顔はどう見ても恋人に向けるものではなかったし、まして夜のお誘いを(しかもおかわりを)する表情には到底見えなかった。不機嫌そうな頬に手をやると、大袈裟に払われた後でフンと顔を背けられる。こいつ、本当にオレのこと好きなのかな。だけど、そういう猪狩を好きなのはオレなので、結構どうしようもない。
「オレが我慢してるときに、そういうことするよな猪狩って」
「そんなの、頼んでない」
「お前が大事なんだよ」
そうやって静かにして赤くなっているときは、かわいいのにな。両手で猪狩の頬を挟んで、キスをする。求めるまま、求められるまま深くなっていく口付けの前には、自制も我慢もまるで意味がなくなって、オレは再び猪狩を腕の中に抱いた。
「な、猪狩」
「……うるさいな」
「まだ何も言ってないんだけど」
「好きだ、キミのことが、どうしようもなく」
世界でいちばんかわいい恋人を捕まえて、オレはぎゅうと頬擦りをした。今夜はきっと、眠れない。
了
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好きだな〜
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