夜の小咄
夜の小咄(主守)
例えば、午前三時と仮定する。夜明けにはまだ少し遠くて、夜というには真夜中にもほどがある時間だ。布団に入ったのが確か午後十一時過ぎであったから、眠ったといえば眠ったし、十分な睡眠時間が取れたかといえばそれには及ばない。何しろ、隣でくっ付いたまま寝ている男が邪魔で時計を見ることすら叶わない。平和な寝顔、それがいつも通りの間抜け面であることに猪狩は口元を緩めた。
自分からすると、利き腕を枕代わりに使われるなど言語道断であったが、この男はそうではないらしい。今日は寒いから、くっ付いて寝ようぜ。そんなことを言って腕を伸ばし、自分を抱き込んだまま本当にそのまま眠ってしまうのだから呆れてしまう。しかし、今の今までそこで寝ていた自分も自分であるから、猪狩は知らんふりをして目を閉じた。男の腕の中にくるまれながら、猪狩は幸福なまどろみに身を任せた。数時間後には、腕が痺れたと言って隣の男が大騒ぎする、さわがしくもいとしい朝がやって来る。
了
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急に寒くなったので主守
例えば、午前三時と仮定する。夜明けにはまだ少し遠くて、夜というには真夜中にもほどがある時間だ。布団に入ったのが確か午後十一時過ぎであったから、眠ったといえば眠ったし、十分な睡眠時間が取れたかといえばそれには及ばない。何しろ、隣でくっ付いたまま寝ている男が邪魔で時計を見ることすら叶わない。平和な寝顔、それがいつも通りの間抜け面であることに猪狩は口元を緩めた。
自分からすると、利き腕を枕代わりに使われるなど言語道断であったが、この男はそうではないらしい。今日は寒いから、くっ付いて寝ようぜ。そんなことを言って腕を伸ばし、自分を抱き込んだまま本当にそのまま眠ってしまうのだから呆れてしまう。しかし、今の今までそこで寝ていた自分も自分であるから、猪狩は知らんふりをして目を閉じた。男の腕の中にくるまれながら、猪狩は幸福なまどろみに身を任せた。数時間後には、腕が痺れたと言って隣の男が大騒ぎする、さわがしくもいとしい朝がやって来る。
了
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急に寒くなったので主守
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