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無題(主守)

(主守)

 猪狩がわざとらしく溜息をついてみせたとき、パワプロは本日何杯目かのビールを飲み干し、さらにおかわりを注文していた。揚げ出し豆腐に箸を入れながら、猪狩は呟く。
「ボクは、どうしてキミと付き合っているんだろう」
「明日が久しぶりのオフだから?」
「そういうことじゃない」
 がやがやと周りがうるさいここは大衆居酒屋だ。パワプロと一緒でなければ、猪狩には縁のない、もしかしたら一生来ることのなかったかもしれない場所だった。それが今ではこうして当たり前のように飲みに来ているのだから、不思議なものだ。パワプロは好物の焼き鳥を美味そうに頬張っている。塩はパワプロ、タレは猪狩の分だ。
「猪狩、どうした?」
「天才の気持ちは、キミには分からないよ」
「はいはい、始まった」
「キミと一緒にいるようになって、もう随分と経つな」
「まあ、学生の頃からだしなあ」
「ボクとしたことが、流されるまま今日まで来てしまったわけだが」
「よく言う」
「キミはデリカシーがないし、人の話を聞かないし、だらしないし」
「だらしない?」
「何度言っても脱いだ服はハンガーにかけないし、牛乳パックに口を付けてそのまま飲むし、風呂上がりに髪を乾かさない」
「最後のは、個人の自由だろ」
「キミ、そのまま布団に入るだろう、冷たいんだよ。あと、しつこい」
「しつこいって」
「覚えがないのか?この前も、もういいって言ってるのに、キミは何度も…」
「あー。でも、気持ち良かっただろ?」
「本当にデリカシーがないなキミは!ボクの話を聞け!」
「そんなに怒るなって」
「怒らせてるのは誰だ」
「昔からだけど、猪狩って、急に怒り出すことあるよな。カルシウム不足?」
「キ、ミ、が、怒らせるんだ」
「ふふ、でもさ」
「なんだ」
「オレはお前のそういうところも、好きだけどな」
 にこにこと微笑むパワプロに猪狩は何も言えなくなってしまって、誤魔化すようにグラスを掴んだ。ぐいと飲み干すと、パワプロが慌てて止めに入る。お前酒が弱いんだから、無理するなよ。そう言って追加の水を頼むパワプロに、猪狩はひとり息をついた。
 どうして一緒にいるのか分からなくなるくらい、その全部が好ましいと思っているなんて、口が裂けても言えるわけがない。実はとっくにばれてしまっている秘密を胸に、猪狩は追加でやって来た水を一気に飲み干した。酔いは、醒めそうにもない。




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没にするつもりだったけど貧乏性なので供養
主守ひたすらイチャイチャしてるばっかでオチないよ
この文面百回見たなって感じの既視感

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