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雨の日

雨の日(主守)

「猪狩、先輩から伝令。今日雨だから、部活休みだって」
「そうか」
 隣のクラスにも伝えて来て、と言ったところでどうせ猪狩のことだから、「なぜボクが」と言われて終わりだろうと思い、先回りして黙って廊下に出ると、猪狩が横に着いてきた。
「猪狩、どうした?」
「どうしたってキミ、隣のクラスに伝えに行く必要があるだろう」
 フン、と鼻を鳴らした猪狩はどうあっても素直じゃない。素直じゃないが悪いやつでもなくて、そしてオレはというと、そういう猪狩の態度にはとっくに慣れてしまった。いつものことだ。笑って肩に触ると、やめろと睨まれたのでオレは素直に手を引っ込めた。当然のように利き腕の方には触れていないのだが、今日の猪狩はこれもお気に召さなかったらしい。
 そんなことをしているうちにすぐ隣のクラスに着いたが、伝令の内容を話しているときも、猪狩は結局一言も喋らずに隣で黙っているだけだった。一体何のために着いて来たのやら。雨の日はいつもならば室内練習をすることになるのだが、今日に限ってはどこの場所も空いていないらしく、急遽休みになった。
 隣のクラスの部員たちとひとしきり喜びを共有し、最後にはハイタッチまでして盛り上がったのだが、それを猪狩はやっぱり黙って見ていた。顔には出ていないだけで、呆れているに違いない。野球は好きだし、練習の重要性は嫌というほど理解しているが、いかんせん名門あかつき野球部の練習は地獄のようにきつく、厳しく、容赦のないものなので、たまの休みは物凄く嬉しい。そういう気持ちも、オレよりもよほどの野球馬鹿でストイックな猪狩にはきっと分からないに違いない。
「なあ、猪狩」
 教室へ戻る道すがら、ホームルームが終わったばかりの廊下はざわざわと騒がしかったが、猪狩にはちゃんと聞こえていたようで、返事はせずに視線だけをこちらに寄越した。
 ラーメン食べに行こ、と言おうとして、オレはすんでのところで言い直した。
「バッセン行かない?」
「ボクは練習があるんだ」
 キミみたいな暇人と違ってね。予想通りすぎる猪狩の返答はどう考えても予定調和にしか過ぎなくて、オレはいっそ微笑ましい気持ちになる。そういう猪狩に返す言葉もまた、決まっている。
「ははーん猪狩。さてはおまえ、オレに勝てないのを恐れて逃げる気だな?」
「なに!キミ、寝言は寝てから言うものだよ」
「それなら」
「いいだろう」
「勝負だ!」
 言った時には同時に机の上の鞄を掴んで、教室から飛び出した。
「なあなあ、負けた方はラーメン奢りな」
「キミはよほどボクにラーメンを奢りたいようだね」
「なんだと!」
 靴を履いて傘を差して外に出ると、強い雨が降り続いていた。鞄も制服も濡れるし、ほとんど走るように歩いているから靴に泥が飛んだが、それよりもオレは楽しくて仕方がなくて、勢い余って大きくジャンプした。着地した先の水溜まりの水が猪狩の方に跳ねて、おかげでまた怒られたのは、言うまでもない。





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今日誕生日なんです!祝ってください!!!!!!ヒュー!!!!!!
なんか嬉しい気持ちになったので主守書きました

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