いつかくるお別れに向けて
「あ、このマグカップかわいいですね」
「ほんとだ。いいね、買っちゃおっか」
そう言ったパワプロさんは嬉しそうに笑って、僕の指したカップを手に取った。いかにも恋人らしいペアカップだ。僕は元々、こういうものが特に好きではないし、あまり欲しいとも思わない。だって、家に帰ればまだ使えるマグカップはちゃんとあるし、おそろいで揃える必要性も別段感じない。いっそ無駄遣いと言って差し支えのない支出に思える。それでも僕は欲しがった。いつかくるお別れに向けて。
「あ、進くん。見てみて、これ」
「どれですか?わ、いいですね」
二人並んで買い物をする穏やかなひと時は、どこをどう切り取っても幸せなものだ。最愛の恋人と過ごす休日、幸せな時間。だけど僕は知っている、これが永遠には続かないということを。
「そうだ、柔軟剤が切れそうだったから、あれも買っていかないと」
隣で笑うこの人のことが、僕は確かに今日も好きだった。だけど、それがずっと続くなんてことは、絶対にない。生きている限りはいつか必ず死ぬことになるし、彼が僕のことを好きでなくなるかもしれないし、もちろん僕が彼のことを好きでなくなる日が来るかもしれない。ほかにも、想像もしないような理由で一緒にいられなくなる可能性だってある。だから、これは、始めたときから期間限定なのだ。そう思うと、このマグカップも、会話も、景色も、そのための準備だ。いつかくる別れのために。
「ふふ」
「どうしたの?」
「僕、パワプロさんのことが好きです」
「急にどうしたの?」
振り返って、笑う。これもすべて。
「愛しています」
いつかくるお別れに向けて
ーーーーーーーーー
かなしいね
「ほんとだ。いいね、買っちゃおっか」
そう言ったパワプロさんは嬉しそうに笑って、僕の指したカップを手に取った。いかにも恋人らしいペアカップだ。僕は元々、こういうものが特に好きではないし、あまり欲しいとも思わない。だって、家に帰ればまだ使えるマグカップはちゃんとあるし、おそろいで揃える必要性も別段感じない。いっそ無駄遣いと言って差し支えのない支出に思える。それでも僕は欲しがった。いつかくるお別れに向けて。
「あ、進くん。見てみて、これ」
「どれですか?わ、いいですね」
二人並んで買い物をする穏やかなひと時は、どこをどう切り取っても幸せなものだ。最愛の恋人と過ごす休日、幸せな時間。だけど僕は知っている、これが永遠には続かないということを。
「そうだ、柔軟剤が切れそうだったから、あれも買っていかないと」
隣で笑うこの人のことが、僕は確かに今日も好きだった。だけど、それがずっと続くなんてことは、絶対にない。生きている限りはいつか必ず死ぬことになるし、彼が僕のことを好きでなくなるかもしれないし、もちろん僕が彼のことを好きでなくなる日が来るかもしれない。ほかにも、想像もしないような理由で一緒にいられなくなる可能性だってある。だから、これは、始めたときから期間限定なのだ。そう思うと、このマグカップも、会話も、景色も、そのための準備だ。いつかくる別れのために。
「ふふ」
「どうしたの?」
「僕、パワプロさんのことが好きです」
「急にどうしたの?」
振り返って、笑う。これもすべて。
「愛しています」
いつかくるお別れに向けて
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かなしいね
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