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ラブイズユー

10/主進


「進くんはいつでもお嫁にいけるね」

ちょっとした軽口のつもりで言った言葉が進くんにはたいそう気に入らなかったようで、進くんにしては珍しく返事が返ってこなかった。いわゆる無視というやつだ。
進くんの作ったおいしい夕食を食べてお腹はいっぱい、極楽気分のまま二人してソファで戯れているこの時間がオレは大好きなのだった。
いつもなら食べてすぐ食器を片づけに席を立つ進くんが、真っ先にオレの胸に甘えてきたのも嬉しかった。
そういう嬉しい気分もあってついつい口が軽くなってしまったのだが、それは進くんの機嫌を損ねる結果となってしまったようだ。
オレの足の間にちょこんと収まっている進くんをがばりと抱きしめる。
後頭部にぐりぐりと顔を押し付けると、くすぐったいのか進くんは少しだけ身じろぎした。

「前に母さんが言ったこと、気にしてるんですね」
「べつに、そういうんじゃないけどさ。今日もすっごく美味しかったから」
「僕は男ですよ」

それきり進くんはまたも黙ってしまうのだった。
進くんの肩越しに食卓を見つめる。テーブルの上には食べてそのままになっている食器たちが置いてある。
箸も、カップも皿もいつの間にか揃いのものになっていた。進くんに手料理を振る舞ってもらっているうちに徐々に増えていったものだ。あるときは一緒に買いに行き、あるときは互いに買ったものを持ち込んでいた。
初めのうちこそお揃いというものに若干の気恥ずかしさを覚えていたオレではあったが、進くんの笑顔の前にいつしかそんな気持ちも消え失せていた。
進くんが笑ってくれるのならオレはなんだってする。

「進くん」

ほっぺたに口付けるのは、こっちを向いてキスしようよというオレの合図だった。
いつの間にか二人の間で承知のものになっていた、暗黙の了解だった。
当然進くんは分かっているはずであるが、オレが何度唇を寄せてもこちらを振り向くことはない。
どうやらよほど怒らせてしまったようだ。
オレは進くんのことを心からかわいいと思っているし料理の腕も一流だと思っているが、進くんのことを女の子の代わりとして扱ったことは一度もない。そして、これからもないだろう。
確かに顔を埋めた進くんの髪からは女の子のようないい匂いがするし愛らしい仕草はまさしく少女のようではあるけれども、抱きしめる体はきっちり筋肉のついた逞しいものであったし、体を張ってホームを守る進くんはまさしく男なのであった。
そして間違いなくオレは男の進くんが好きだった。

どうしたものかと思案して進くんの肩に自分の頭を乗せる。
びっくりしたらしい進くんは少しだけ体をこわばらせたが、やっぱり振り向いてくれることはなくて黙っている。
進くんは、何がそんなに気に入っているのか知らないがオレの固い膝の上がお気に入りだ。
ソファに腰掛けているといつの間にか膝の上に進くんが乗っかっていて、そのまま一緒にテレビを見たりする。
今日は帰りにDVDを借りてきたから、2人で夜更かしして一緒に見るつもりだった。進くんを足の間においたまま、その肩口に頭を乗っけてテレビ鑑賞をするのがオレのお気に入りでもあった。

「進くん」

ソファから下りて、正面から進くんを見つめる。
進くんが下を向いたまま顔を上げてくれなかったので、オレはしゃがみこんで下から掬い上げるように彼を見た。
進くんの大きな瞳はゆらゆらと揺れていた。

「オレの言い方が悪かったみたいでごめんね」
「僕の方こそ、ムキになってごめんなさい」
「いま思いついたんだけど、いっそオレがお嫁さんになろうかな?」

やっと顔を上げてくれた進くんは、それってどういう意味ですか?と言って笑ってくれた。
蕾が花開くような進くんの笑顔。やっぱりオレはこの顔が大好きだ。

「オレがお嫁さんになったら、進くんちゃんと娶ってくれる?」
「パワプロさん、それって」
「お嫁さんでもお婿さんでもいいから、オレは進くんとずっと一緒にいたいなあ」

進くんが破顔する。
オレはたまらなくなって、立ち上がるとソファに座っている進くんをそのまま抱きしめた。
抱き返してくれた進くんをぎゅうと腕に閉じ込めて、耳元にささやく。
くすぐったいのか、進くんはくすくすと笑いながらオレの耳元にも同じ言葉をささやいた。
縺れ合うようにキスを繰り返しているうちに、いつの間にかオレは進くんをソファの上で組み敷いていた。
結っていた進くんの髪がほどけてソファの上に散らばる。その一束を摘み上げてオレは唇を寄せた。

「どうしよう。このまましたくなっちゃった」
「僕もです」

視線を外しながら照れくさそうに言う進くんの唇を塞ぐ。
ついばむように繰り返される浅い口付けから徐々に深くなっていくキスが進くんのお気に入りだった。チュ、チュ、と交わされる口付けの合間に熱い吐息が絡まる。
差し出された進くんの舌をすっぽりと覆い尽くすように舐める頃には2人ともすっかりその気になっていて、こすれる下半身は共に痛いくらい張り詰めていた。

「ソファでもいい?ベッド行こうか?」
「そんなの、聞かないでください…」

オレの首に腕を絡めた進くんが唇を寄せてくる。
最初から答えは聞くまでもなくて、オレは進くんを抱き寄せると二人でソファへと沈み込んだ。


―――――――
かわいいのも怖いのも痛いのも気持ちいいのでもいいです、主進ください
主進、すごくいいと思います…

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