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ゆめのあとさき

大変趣味の色が激しい主進
性描写がありますのでご注意



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140字に熱い思いをぶち込める

最近ツイッターで140字のお題というのを書いているのですが、それなりにたまってきたのでまとめました。
日替わりランダムに提示されるお題で、○○と××という言葉を使って140字以内でまとめましょう、みたいな感じのものです。
字数と言葉の縛りがいい感じに効いていて結構楽しいです


▼主守
『心』と『嫉妬』
天才猪狩守でも嫉妬はするらしい。クラスメイトとバッティングセンターに行った話をした途端、猪狩は黙り込んでしまったのだった。物言いたげな瞳、けれど本心が漏れることはない。今どき心と言葉が裏腹だなんて流行らないだろう。お前のその口で、とどめを刺せばいい。さあ閉幕だ。ここから始まる

『男子』と『そんな』
清く正しい日本男子たるもの、据え膳食わぬは男の恥である。柔らかな髪、桃色の頬、薄く開かれた唇からはかすかな寝息が漏れている。思わず指でなぞりあげていた。ごくりと喉が鳴る。そんな、まるで夢のような状況にも関わらずオレは今日も黙って手をひっこめるだけだ。猪狩、頼むから早く起きてくれよ

『髪』と『吐息』
風が猪狩の髪と花束を揺らしていった。「猪狩、結婚してほしい」真っ赤な薔薇は猪狩の好きな花だった。花びらが風に舞い、オレはもう一度同じ言葉を繰り返して猪狩の左手をとる。初めて交わされた吐息、猪狩は少し照れ臭そうにしながらいつもの台詞で返事をくれるのだった。HAPPY END!

『鋭い』と『投げる』
▽パワ高主
猪狩が投げる。オレが打つ。3年間続けられてきたこの勝負に、いよいよ決着を付けるときがきた。甲子園への切符は一枚、譲るわけにはいかない。マウンドの猪狩と鋭い視線が交わったが、二人とも笑っているのがおかしくてオレはヘルメットをかぶり直す振りをしてごまかした。さあ猪狩、勝負だ。

▽あかつき主
猪狩はいつだってチームの期待に応えてきた。マウンドで一人闘う猪狩の背を眺めながら、オレは振り返る。この回が終われば次はオレの打席だ。猪狩がこれだけやっているのに、今日のオレは3タコときたもんだ。猪狩が投げる。オレが打つ。そうやって今日まできたのだ。さあ見ててくれ。オレたちは勝つ。
(お題無視ごめんなさい)

『月』と『退屈』
月はまんまるだった。ボールが見えなくなるまで練習していたらこんな時間になってしまった。「キミといると、いい退屈しのぎになるよ」隣を歩く猪狩がいつものように言う。それが猪狩にとって最大の賛辞であることを知っていたので、今日も勝負に負けたオレは黙って猪狩の頭を小突くだけにしておいた。


▼主進
『ペン』と『風』
ペンを置いて、書き上げたばかりの便箋を取り上げた。青色のそれを丁寧に折り曲げて、出来上がったのは紙飛行機。窓を開けて空へ放つと、それは風に乗ってあっという間に見えなくなった。こんな気持ちは、どこか遠くへ飛んでいってしまえばいいのだ。僕はもう一枚便箋を取り出すと再びペンを走らせた。

『林檎』と『恋』
普段林檎を食べるとき、僕はわざわざ兎の形に切り揃えたりしない。食後のデザートを持っていくと、彼はひとしきりそれを褒めてから喜んで食べた。無意識に緩む顔。これが恋でなかったら、一体何が恋だというのだろう。シャリシャリと林檎を食べる音に混じって、僕はこっそり囁いた。


▼主友
『先生』と『白』
先生もクラスメイトも帰ってしまった教室には二人きりしかいなかった。黒板いっぱいに書き詰められた寄せ書きの言葉。もちろんオレも書いた。友沢は白いチョークで書かれたそれを眺めている。「ばかだな」珍しく笑み崩れた友沢はそれだけを言うと、ほんの少し泣いた。早咲きの桜だけがそれを見ていた。


▼進守
『弁当』と『だから』
思えば、高校を卒業するまでずっと昼は弟の作る弁当を食べていた。「母さんの料理が懐かしいなあ」隣のパワプロがそんなことを言うのでふと思い出してしまったのだ。「だからキミはいつまで経っても強くなれないんだよ」確かに美味しい寮食を食べながら、ボクは誰に言うでもなく一人呟いた。


▼鋼と進
『狡い』と『取り引き』
触れるのならマスクは外さない、触れないと約束するのならマスクを外しても良い。こんな狡い取り引きを持ち掛けさせるために、俺はこいつに告白をしたわけではない。知りたくなったし、触れたくなってしまったのだ。ただそれだけ、ある夏の日の、夕暮れ時のことである。



主守ばっかだね!お察しください!
字数の制限のせいで半角カタカナ使ってみたり、句読点を省略してみたり…
とっても楽しいのでお題はもっと流行ればいいと思います!
あの二人も書いてよーってのがあればお気軽にどうぞ♡

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手を伸ばせば

ご注意

友沢兄弟の話ですが、誠に遺憾ながら私は翔太くんのことをよく知らないので、すべては妄想の産物であり脳内設定となっています。とてもこわい。とてもこわいのでワンクッション入れてあります
もはやオリキャラのようになってしまっている翔太くんでも大丈夫という方のみ続きからどうぞ
心臓の弱い方や友沢兄弟のイメージを崩されたくない方は閲覧を控えていただきますようお願い申し上げます


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拍手コメントお返事です

いただいたメッセージのお返事になりますので、お心当たりのある方は追記よりどうぞ^^
ご閲覧いつもありがとうございます~!


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祈りの姿

10カイザース/主人公と友沢


「好きです」

ふたりきりの室内練習場で、その声はとてもよく響いた。
文字にしてたった四文字、この四文字を口にするまで自分はどれだけの苦労と葛藤、まわりみちをしてきたことであろう。しかしながら、並々ならぬ決意を持って告げられた言葉、決死の覚悟で囁かれた告白は文字にしてたったの四文字で済んでしまったということでもある。
喉元から舌先を離れるまであれほど苦かった音の羅列は零れてしまえばあとは簡単なもので、ほんの少し空気を震わせてあの人の耳へと吸い込まれていった。
なんだ、こんなに簡単なことだったのか。一度口にしてしまえばたやすいもので、オレはもう一度その言葉を囁いた。
ああ、そうだ、好きなのだ、あんたのことが、好きなのだ、どんなに鈍いあんたでもこれでようやく思い知ることが出来ただろう、ざまあみろ。

「友沢」

掠れた声で呼ばれたのは自分の名だった。これまた四文字、しかしこのたった四文字が自分をどれだけ幸せにするのかオレはよく知っていた。笑いながらだったり、怒りながらだったり、ときにびっくりした声色で、ときに優しい音色で、様々な色でこの人はオレの名を呼ぶ。その色で呼ばれるたびに、オレは自分の輪郭を新たに彩られるようなそんな心持ちがしていたのだ。
大袈裟だと馬鹿にする人間もいるだろう。少し前まで、自分もその類の人間だったのだからよく分かる。愛だの恋だの、そんなもの馬鹿げていると思っていた。
それがどうだろうか、気が付けばいつしかオレの世界は大きく変わっていた。今まで馬鹿にしていたものは輝いて見え、諦めていたものには光が射した。あの人の周りはいつだってきらきらと瞬いていたし、そんなあの人の側にいると自分までその輝きの中にいるような錯覚を起こすのだ。

自覚をしてからは早かった。今となっては、好きになった理由もそのきっかけもぜんぶ忘れてしまったが、視線が勝手に追うようになっていた。
もっと相手のことを知りたい、自分のことを見て欲しい、一緒の時間を過ごしたい、そんな女々しいことばかりを考えながらオレは一日を過ごすようになっていったのだ。
話をするだけで楽しかったし、「後輩」という特権を使って練習を見てもらえるのが嬉しかった。時折練習後に二人で食事に行くことが何よりも幸せで、今日は誘ってもらえるだろうかといらぬ期待でそわそわする気持ちを隠すだけで精一杯だった。
好きなのだと、そんな気持ちに気付いてから、オレはあっという間に変わってしまったのである。友沢亮とは、こんな人間であったのかと自分自身を疑いたくなるときがある。しかし、もう戻ることは出来ないのだし、知らなかった頃には今更帰れないのだ。

返事など期待するつもりはなかったのだが、それでも心は正直なもので、心臓はドキドキと脈を打って痛かった。ああ、格好悪い。生まれてこのかた告白などしたことがない、一体何をどうすれば「格好良い告白」になるのか知らないが、今の自分がみっともない姿をさらしていることだけは分かる。

こんな様子では、また猪狩さんに鼻で笑われてしまいそうだ。いつものキザな笑い、余裕たっぷりでこちらを見る猪狩さんの顔が自然と浮かんだ。同時に苦いものが胸に広がる。
猪狩守。チームメイトで、先輩で、球界を代表するエースピッチャーで、そして、恋敵である。わざわざ言葉にすると本当の馬鹿みたいだ。猪狩さんはオレなんて歯牙にも掛けていないし、そんなことを考えているのはオレ一人だけだ。
全部持っているくせに、オレの欲しいものすべてを手に入れているくせに、猪狩さんはいつだって自分の欲に正直で貪欲だ。あの視線が、言葉が、態度が、なにもかもがこの人をさらっていく。初めから勝負になどなりはしない。
いつだって自信満々、唇に不敵な笑みを乗せて猪狩さんはオレに言うのだ。

たかだか四文字を言うために唇を震わせ、握り拳の手の中は汗に濡れ、なによりこんな情けない顔をしている自分が選ばれないことはよく分かっていた。オレがあの人に選ばれる日は永遠にこないだろうし、猪狩さんには敵わない。
それでも、そんな理屈や理論で自分を縛るのは疲れてしまった。だから、もう、いいだろう。自分の中から、舌先から離れた言葉の行方にまで責任は取れないのだから。

「ごめんな」

パワプロさんは静かに答えた。四文字の告白は、やっぱり四文字で返されるのだ。とても申し訳ないという気持ちを隠しもせず、パワプロさんは言った。予想通りの返答ではあったが、緊張とほんの少しの期待で膨らんでいた胸がズキンと痛む。オレが口を開く前に、パワプロさんは静かに話し始めた。

「実はオレ、猪狩と付き合ってるんだ」
「知ってます」
「えっ」

さも驚いたという顔でパワプロさんは瞳を瞬かせた。そのままじっと見つめたままでいると、ばつが悪そうに目を反らしながら、なんでばれてるのかなあと零した。もしかしてあれで隠しているつもりだったのかとオレは頭を抱えたくなる。
だいたい、猪狩さん自身がそのことを周りに公言しているということをこの人は知らないのだろうか。嫌味たっぷりな余裕の表情で、それでも確かに幸せそうにパワプロさんを自慢する猪狩さんの顔は見慣れたものだった。

「…見てれば分かりますし、だいたい猪狩さんってあんたとのこと周りに話してますよ」
「うそ!」

本気で驚いているらしいパワプロさんに呆れながら、それでもまだ愛しいと思う気持ちが湧き上がってきて、なんだかもうどうしようもない。いっそ泣いてしまえば楽になるのかもしれないが、あいにくこんな場面で流す涙は持ち合わせていない。様々な意味を込めて溜息をひとつ漏らしてみせると、パワプロさんは困った顔をしながら、しかし視線は外さないままはっきりと言った。

「友沢。知ってたんならどうして、こんなこと」
「べつに猪狩さんは関係ないです。オレがあんたを好きなんだから」
「…」
「順番」
「え?」
「あんたが猪狩さんと付き合ってるのは、たまたま出会う順番が先だったから。ただそれだけのことです」

もしもの話など、くだらないことだ。それでも、どうしても頭の中から消えることのない考えだった。もしも、もしも猪狩さんよりも自分の方が先に出会っていたとしたら、オレはパワプロさんを手に入れる自信がある。口には出さなかったが、おそらくニュアンスは伝わったのだろう。その証拠に、驚いた顔をしていたパワプロさんの顔には柔らかな笑みが浮かび、ぽつりぽつりと話し始めた。

「そうかもしれない」

そのあとには、ありがとうと続いた。
そんな言葉が聞きたかったわけではないのに、それでもオレの胸は確かに満たされていておかしな感じだ。伝えることが出来て満足などと、そんなことを言うのだろうか。オレはそんな人間だっただろうか。もう、自分のことが分からない。そんなのは、この人のことを好きになってから今日までずっとのことだった。
分かっていることは、ひとつだけ。オレにこの人を奪うことはできない。

「友沢、ごめん、ありがとう」

そんな言葉はいらない。
それなのに、オレの口から落ちたのはよもや思ってもみない言葉ばかりで、パワプロさんはみかねたようにそっとオレの頭に手を置いた。その手があまりに優しく触れるものだから、オレはとうとう我慢が出来なくなってしまった。
ああ、なんと情けないことだろう。この人は優しいから、きっとこの地面にできた染みについても見て見ぬフリをしてくれるのだろう。そして、いつものようになんでもない顔をしてオレを食事に誘ってくれるのだろう。
あんたのそういうところが大嫌いで、やっぱり今日もオレはあんたのことが大好きだった。
せめて、嫌いになれれば良かったのになあ。


―――――――――――
またひとつ好きになる

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未来永劫

友猪


あなたは猪狩守の弱点を知っているか。唐突な質問に、眉を顰める人も少なくはないだろう。
猪狩といえば猪狩カイザースのオーナーの息子であり、球界を代表するエースピッチャーである。高慢ともとれる態度で次々と生意気な言動を繰り返す猪狩はいつでも自信満々で挑発的、しかしながらその実力は折り紙つきであった。テーブルの上の食器を流しへ運びながら友沢は考える。

「おい、友沢」

猪狩はソファにゆったりと腰掛けて食後のデザートを楽しんでいる。猪狩の手の中にあるのは牛乳プリンだ。作ったのは友沢である。牛乳もプリンも猪狩の好物であった。プリンを口に運びながら猪狩は言う。

「今日はシャワーじゃなくて湯船につかりたい気分だから、湯を張っておいてくれるかい」

そう言う猪狩がソファから立ち上がる気配はまるでない。風呂はもう洗ってあるのだから、湯を張りたければそこの壁にあるスイッチを押すだけでいいのだ。もちろん風呂を洗ったのは友沢である。友沢は何も言わずに洗い物をしていた手を一旦休めて風呂のスイッチを入れた。振り返ると猪狩はプリンを食べ終わってテレビを見ていた。

友沢は考える。猪狩は口うるさいし、その唇から零れ落ちるのはたいてい小生意気な発言ばかりである。共に暮らし始めた当初は、猪狩の尊大ともいえる言動にいちいち突っかかって衝突していた友沢であったが、今ではすっかり慣れっこになってしまった。なにより友沢は猪狩の弱点をすっかり見抜いてしまっていたので、そうと分かれば猪狩のわがままなどたいしたこともなく、いっそ可愛げすら感じるのであった。

友沢、今日は煮物の味付けが少し濃いんじゃないのかい。次からはもう少し塩分控えめで頼むよ。
友沢、掃除をするのはいいが家具の配置をいじるならボクにも一言いってくれ。突然物の場所が変わっていると困るんでね。
友沢、キミ柔軟剤を勝手に変えただろう?ボクの好みの匂いじゃないので前のものに戻してくれ。

日々繰り出される猪狩の発言を思い出しながら、まるで小姑のようだと友沢はだんだんおかしくなってきた。それが顔に出ていたのか、洗った皿を食器棚に片付けてリビングへ戻ると、猪狩に不審そうな目で見られてしまった。

「なんだい、今日は随分と機嫌が良さそうだね」
「べつに、そんなことないですよ。プリン、どうでしたか」
「ああ、おいしかったよ」

答える猪狩の唇に、友沢は覆いかぶさるようにして口付けた。ほんの一瞬触れるだけのキスに猪狩は機嫌が良いわけでも悪いわけでもなさそうな声色で「いきなりなにするんだ」と漏らした。
構わずに友沢はもう一度唇を寄せ、腕の中に猪狩を閉じ込めてきつく抱く。ぎゅうぎゅうと抱きしめながら友沢は猪狩の唇を堪能することに夢中である。舌を差し入れる頃には猪狩の方もすっかりと大人しくなってしまい、上気した頬をほんのりと染め上げながら友沢の視線から逃れるように顔をそむけた。そんな猪狩に友沢は構うことなくシャツのボタンを外しながらソファへと二人沈んでいった。

「キミはどうしていつもそう唐突なんだい…」
「さあね。あんたのせいじゃないんですか」

適当に答えながら友沢はご機嫌である。その様子に猪狩の方もまんざらではないようで、フンを鼻を鳴らすと友沢からの口付けを静かに受け入れた。半分だけボタンの外されたシャツに手を差し入れながら友沢は考える。

「猪狩さん」

ピクリと反応して、猪狩はねだるような眼差しで友沢を見る。しかし、本人にはそのような気はこれっぽっちもないのである。猪狩のこういった顔はすべて無意識であることを友沢はよく知っていた。耳の中へ直接囁きかけるように、友沢はもう一度猪狩の名を呼ぶ。
猪狩守の弱点。そろそろお分かりいただけただろうか。
キス?ハグ?セックス?違う、猪狩の弱点とは…

「友沢」

焦らすな、猪狩の目はそのように語っていた。べつに焦らしてるつもりはないんですけどね、そんなことを嬉々として答えながら友沢は猪狩の首筋へ舌を這わせた。軽く吸い付くと簡単に赤い跡がついて、友沢は満足そうに目を細める。

「猪狩さん。オレのこと好きですか?」

猪狩は答えない。いつものことである。いつもと変わらぬ様子にやれやれと嘆息した友沢は唐突に立ち上がって猪狩を抱き上げた。猪狩は驚いたように抗議の声を上げたが、友沢は構うことなく軽々と猪狩を抱きかかえたまま寝室の扉を開けた。

「おい、なにするんだ」
「今日は朝までするつもりなんで」

カア、と顔を赤くした猪狩はそこいらの少女のようにウブな様子で口ごもって俯いた。このように触れ合うのは久々で、口にすることはないが猪狩だってずっと望んでいたのだろう。いつものような小言は、今日はもう飛んでこない。
抱いた猪狩の額に一度だけ口付けて、友沢はベッドの上にそっと猪狩を下した。それにのしかかるように友沢もベッドに乗り上げ、上質なベッドが深く沈み込む。

「友沢」

呼ばれた友沢はおおせのままに猪狩へと唇を寄せ、かしずくように恭しく口付けた。
これが猪狩の弱点。もうお分かりいただけたであろう。猪狩守の弱点とは、友沢亮自身である。
このことを、いつかは世間にも広く知ってもらいたいなあと考えている友沢であったが、いまはまだ、友沢と猪狩ふたりだけの秘密である。



―――――――
718に捧げます

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雑談以下

タイトル通り
読後のあれそれは自己責任でお願いします~

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あなたに殺してほしかった

猪狩進→主守


口火を切ったのは兄の方だった。

「ボクたち、交際しているんだ」

いつもの柔和な仮面でやり過ごそうと試みたが、真正面から己を射抜く兄の視線がそれを許さなかった。笑おうとした頬は固まったまま動かず、無様な表情を見せたに違いない。兄は少しだけ戸惑ったようなそぶりを見せ、それでもいつものようにはっきりとした口調で言い切った。

ボクとパワプロは、少し前から付き合っている。その、いわゆる男女間における意味合いでの交際だ。こんなの、どうかしているだろう。それは、自分でもよく分かっているんだ。分かっているのに、どうしてもやめることが出来なかった。認めたくはないけど、ボクはパワプロのことが好きだったんだ。今まで、進にもたくさん迷惑をかけたな。パワプロとのことで、巻き込んで迷惑を掛けて悪かった。今後は、その、あいつとはもっと上手くやるようにするから、進にも迷惑を掛けることはなくなると思う。
お前には一度、きちんと話をしておこうと思っていたんだ。今までありがとう。

ありがとう、もう一度繰り返すと、兄は恥ずかしそうに少しだけ笑った。それが何を意味しているのか僕には理解できない。唯一理解できたのは、終わってしまったということだった。パワプロさんに片想いしていた僕の世界は、とうとう今日で終わりを告げてしまった。随分とまあ、あっけないものだ。

僕はずっとパワプロさんのことが好きだった。兄に思いを寄せているパワプロさんが好きだった。だって、僕が初めてパワプロさんに出会った日から、彼の目は兄だけを見ていたのだから。それでも、良かった。ただ近くにいられるだけで僕は満足だったし、「猪狩守の弟」という事実は、彼に近付くためのこの上ない最高の口実だったからだ。猪狩守の弟である僕に対して、彼はとても優しく接してくれた。

兄がパワプロさんに好意を抱いているということもとっくに見抜いていた。嘘をつくことが出来ない兄の態度はあまりにも分かりやすかったし、パワプロさんもまた、兄への好意を隠さなかった。彼らは、誰の目から見ても両想いなのであった。
それを知らないふりをして、いや、知った上でなかったことにして、僕はパワプロさんの傍にいた。彼らが喧嘩をすれば仲裁に入ったし、橋渡しのような役割を担っていた。兄が僕に対して詫びたのはおそらくこの部分に対してであろう。
僕は、彼らが喧嘩するたび密かに喜んでいたのだ。僕を頼ってくれるパワプロさんが嬉しかった。彼が零す兄の愚痴を聞きながら傍にいられるのが楽しかった。僕の口からは、思ってもいないことが次々と零れて落ちた。
「進くんは、優しいなあ」
そう言う彼は、とても優しかった。

「進?」

呼び掛けられて、兄の方を見る。いつだって、僕の前を行く兄だ。自らの手で道を切り開き、欲しいものは自分の力で手に入れてきた兄。成功と栄光は、兄の元へ惜しみなく降り注ぐためのものだった。僕はそれを、ずっと昔からいちばん近くで見てきたのだ。

「そう。兄さんおめでとう。パワプロさんと仲良くね」

その後に自分がなんと言ったのか、僕はもう忘れてしまった。思い出す必要も、覚えておく必要もないだろう。


―――――――――
こういうのが好きすぎる

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sweet home

主守



「猪狩、家着いたぞ。家っていってもオレんちだけど」

靴を脱ぐのもそこそこに、手探りで壁にあるスイッチを押す。パチンと明かりをつけてみても相変わらず眠ったままの猪狩が起きることはなく、オレはやれやれと言いながら足を使って猪狩の靴を脱がしてやった。そのまま半分引きずるようにしてソファまで連れて行く。一連の動作は慣れ親しんだいつもの動きだった。
酒の弱い猪狩はみんなで飲みに行ってもグラス一杯を飲み切る前にだいたいいつもこういう状態になってしまう。ほろほろと気持ちよく酔った後は酔いつぶれて寝てしまうのが常で、そんな猪狩を運ぶのは、なぜか昔からオレの仕事だった。

気の知れた仲間で酒を飲み、酔いつぶれた猪狩を抱えてタクシーへ、そのまま自宅まで運んで朝を迎える、一体何度繰り返された日常だろうか。チームメイトも当然のこととして心得ているので、酔った猪狩とオレを残して先に帰ってしまうこともしばしばだった。
「猪狩、みんな帰るって」肩を揺らして呼び掛けてみてもやすらかな寝息が聞こえてくるばかりで猪狩が起きることはない。やっぱり今日も残されてしまったオレは嘆息しながら猪狩のほっぺたをつついてみたのだが、ふにふにとつねってみても猪狩は寝ているばかりで何も答えないのだった。


ソファに座らせた猪狩は羨ましくなるくらいに気持ちの良さそうな寝息を立てて寝ていた。オレの苦労も知らずにこいつときたらいつもこの調子である。すぐ顔に出る猪狩は今日も血色の良いピンク色になっていた。色が白いこいつは余計に顔色に出やすい。
飲みに行くだけなのだからもっとラフな格好をすればいいのに、今日もかっちりと着込まれた猪狩のジャケットに手を伸ばす。手早く脱がし、ついでにシャツのボタンも上からひとつふたつ開けてやった。首が締まったままでは寝苦しいだろう。

くたんと力ない猪狩を抱き上げてベッドまで運ぶのも当然オレの仕事だ。それはいわゆる「お姫様抱っこ」と呼ばれる格好で、初めのうちこそどうせならかわいい女の子が良かったなあなどと馬鹿なことを考えていたのだが、そのうちどうでもよくなった。そんなことを言っていても現実は変わらないのである。

猪狩は、男にしては随分と軽い方だった。あいにく猪狩以外の男を抱きかかえたことがないのでそもそも比べることができないのだが、それでも確かに軽いと思う。何年も掛けて鍛え上げられた一流のスポーツ人の体ではあったが、それでも猪狩はまだ細い。
30を過ぎてなお、いまだ十数年前の高校生だったあの頃の面影が残っているなどと言ったら猪狩は怒るだろうか。猪狩は怒ったり笑ったりと忙しい。仲が良いのか、悪いのか、怒ったり怒られたり、笑ったり笑われたりしながら、それでもオレたちは今日までずっと一緒に過ごしてきた。思えば不思議な縁である。

ベッドに寝かせた猪狩に布団をかけ、オレは水を用意するためにキッチンへ向かった。冷蔵庫をぱかりと開けて取り出すのはミネラルウォーターである。オレは飲まないので猪狩専用の水だった。水道を捻れば出てくるものを、オレはわざわざ買ったりしない。そういうと猪狩は、無機塩添加の調整がどうだとか軟水と硬水の違いについてだとか長ったらしい講釈を垂れてくれる。とてもありがたいので、オレはいつも右から左へと聞き流すばかりだ。
ミネラルウォーターの効能も凄さもこれっぽっちも分からないが、猪狩の好きな水の種類が分かっていればオレにとっては十分である。

蛇口を捻るのが面倒だったので、オレは猪狩の気に入りであるそれをコップに注ぐことなくそのまま飲んだ。2リットルサイズなので結構重たい。猪狩が見ていれば、行儀が悪いだのなんだのと言われるに違いなかった。
一気に飲み干して息をつきながら、オレはグラスを取り出して猪狩の分を注いだ。そのままグラスを持って、寝室まで戻る。起きてすぐ水を欲しがる猪狩のためだった。全く、ここまでしてやるオレはどうしようもなく人が良く、まさに至れり尽くせりの状態である。それでも、好きでやっているのだから仕方がない。酔った頭でいろいろと考えても仕様のないことだ。

寝室に戻ったオレは諸々を脱ぎ捨ててシャツ一枚だけの姿になってベッドにもぐり込もうとした。そこには当然すでに猪狩が横になっている。初めのうちこそ、猪狩がこうして寝ている日はオレがソファで眠るようにしていたが、いつの間にか夏が過ぎ冬が来る頃にはそれもだんだんばからしくなり、なにより真冬のソファはとても寒かったので、オレは猪狩の寝ているベッドにそのままもぐり込んだのだった。初めて猪狩と同じ布団で寝た日、体温が高いらしい猪狩の温もりがとても心地良かったことを覚えている。

朝起きた猪狩は当然怒っていたし、なぜボクがキミと一緒に寝なくてはいけないんだ!なんて言っていた。しかしながら、それはこっちのセリフである。オレはここの家主であるし、文句があるのなら猪狩は自分の家で寝ればいいのだ。などと言ったら後が怖いので、オレは、いーじゃんべつにと適当に流してその場をやり過ごした。
そのあとはもうなんとなくの流れで、こうして飲んできた日の夜はそのまま猪狩と一緒に寝ることが当たり前になっていた。さすがに慣れたらしい猪狩はもう何も言わなくなっていた。慣れとはげに恐ろしきものよ。
野球で飯を食べそこそこ稼げるようになった頃、ちょっとした贅沢のつもりで買ったダブルベッドは今や猪狩と使うためにあつらえられたもののようになっていた。なんということだろう。

明日はオフだ。猪狩がこんな風に酔いつぶれるのは、翌日がオフであるか、チームが日本一になったときだけだ。
ふあ、と大きく欠伸をして布団をめくる。朝になったら、オレよりも早く起き出した猪狩が勝手にシャワーを浴びて、まだ寝ているオレを起こしながらモーニングコーヒーを要求してくるに違いないのだ。これもいつものことだった。
無理やり布団をはぎ取られる図が安易に想像できてオレはほんの少し笑った。朝が弱いオレはあと少しと言って丸くなり、そんなオレを猪狩が急かすようにたたき起こす。
ああ、なんだか、これって、

「夫婦みたいじゃん」

するりと口から零れた言葉は存外に違和感がなかった。なんということだろう。酔っているんだろうか。それでもべつにいいやと思ってオレは布団にもぐりこむ。今日は一段と頭が働いていないらしい。

「もういっそ結婚しちゃうか、猪狩」

自分で言いながらすぐに布団の心地よさに意識を奪われてしまったので、ただでさえ顔の赤い猪狩が耳まで真っ赤にしていた瞬間をオレは見逃してしまうのだった。


―――――――――――――――
守さんはほんとに寝てる日と起きてる日があったらかわいい
しゅまも

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パワプロアンケート!

突然思いついてパワプロに関するアンケートを作ってみました。
よろしければどうぞ~!^^

パワプロアンケート!

ウィキさんなどを参考にしながら作りましたが、ツッコミどころやおかしいところは全力で目をつぶっていただけるとありがたいです…
楽しかったのでまたやりたいです!

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